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「やさしい自分」でいるために。いまからできる3つの習慣

多くの親が、子どもへの接し方で悩んでいることでしょう。愛情ゆえに距離感を見誤ったり、「やさしくすること」と「甘やかすこと」の区別がつかなくなったり……。ですが、小手先のテクニックだけでは、長い子育ては乗り越えられません。本連載では、女性、仕事、家庭生活におけるメンタルケアに取り組む大美賀直子さんに、「親と子どもがやさしくいられるには?」をテーマに寄稿いただきます。第1回となる今回は、家族や子ども、そして自分にやさしくなるためにまず意識すべきことについて。「もっとやさしくなれたら」と思った人が、いますぐに実践できることを教えくださいました!

教えてくれるのは・・・
大美賀 直子さん
メンタルケア・コンサルタント

「こころと人生と人間関係」のベストバランスを提案する、メンタルケア・コンサルタント。公認心理師、精神保健福祉士、産業カウンセラーの資格を持ち、作家やセミナー講師として活動。All Aboutの「ストレス」ガイドも行う。自身も子育てを経験し、女性、仕事、家庭生活における心理学とメンタルケア、自己成長の支援を得意領域とする。


INDEX
いつも「やさしい自分」でいたいのに
【習慣1】やさしさは相互作用。自分が受けているやさしさに気づいていこう
【習慣2】家庭に散りばめられている「小さなやさしさ」を発見していこう
【習慣3】いつも頑張っている自分をねぎらい、自分自身にやさしくなろう

いつも「やさしい自分」でいたいのに

忙しい毎日のなかでも、笑顔で家族に接したい。明るくおおらかな気持ちで子育てをしたい。いつも「やさしい自分」でいたい。……でも、現実にはやるべきことが山積みで、家族に笑顔を向ける余裕もない。子育てに追われて神経を尖らせ、イライラしてばかりの毎日。そんな日々のなかで「このままの自分でいいのかな?」と感じている方も、少なくないはずです。 では、そもそも「やさしさ」とはなにか……、「やさしさ」とは、人に親切にすることやあたたかい気持ちでいること、です。

無理にでも笑顔をつくり、気の利いた言葉をかければ、やさしさを表すことはできます。でも、そこに心がこもっていなければ、受け手にやさしさは伝わりません。むしろ、受け手は表面的なやさしさに違和感を覚え、不安を感じてしまうこともあります。

では、心からにじみ出るやさしさにあふれた人になるためには、何が必要なのでしょう? 「やさしい自分」になるために、心がけたいのが次の3つの習慣です。

【習慣1】やさしさは相互作用。自分が受けているやさしさに気づいていこう

「やさしさ」はひとりでに高まるものではなく、人と人との相互作用のなかで育っていくもの。だからこそ大切なのは、自分が受けているやさしさに気づくことです。

たとえば、子どもを連れて出歩くと、子どもが騒いだときや泣き出したときに迷惑そうな視線を向けられ、何度もつらい思いをした方もいるかもしれません。そうしたなかでも、いたわりの言葉をかけてくれたり、笑顔を向けてくれたりする人もいて、やさしさを感じた瞬間もあるのではないでしょうか。

やさしさに敏感な人は、こうした瞬間に心のなかに生じるあたたかい気持ちをしっかりキャッチしています。つまり、「やさしい自分」になるには、人から受ける冷たさよりやさしさのほうを積極的に見出し、記憶していくこと。すると、心のなかに人から向けられたたくさんのやさしさが蓄積していき、人にやさしさを返したいという気持ちにつながっていきます。

【習慣2】家庭に散りばめられている「小さなやさしさ」を発見していこう

何気ない家庭生活のなかにも、たくさんの「やさしさ」が込められています。ぜひ、そのことにも細やかに目を向けていきましょう。

朝起きて「おはよう」の一言を伝えあうのも、やさしさのひとつ。あいさつがルーチンになると忘れてしまうかもしれませんが、家族になれた当初は「おはよう」「おやすみ」の一言にやさしさを感じ、幸せな気持ちになっていたのではないでしょうか。

あいさつだけではありません。一緒にご飯を食べてくれたこと。帰りが遅い日に心配してくれたこと。愚痴に耳を傾けてくれたこと……。何気ない暮らしのなかにある小さなやさしさを発見し、その都度「うれしい」「ありがとう」といったやさしい言葉を返していきましょう。すると、家庭のなかにやさしさの輪が波紋のように広がっていくと思います。

【習慣3】いつも頑張っている自分をねぎらい、自分自身にやさしくなろう

「やさしさ」を感じるために、もう一つ大切なことがあります。それは、頑張っている自分自身をたっぷりいたわることです。

毎日続けている家事や子育て、仕事……。必死な気持ちで取り組んでいても、その苦労に気づいてもらえないことは多いかもしれません。だからこそ頑張っている自分に、自分自身でやさしさを向けていくことです。

たとえば、たまには一人で、ゆっくりのんびり過ごして自分を癒したり、日々の暮らしのなかで、美しいものや心地よいものを身の回りに置き、穏やかな気持ちになったり。そんな時間を大切にしていますか?

「このくらいはできてあたり前」「周りの人はもっと頑張っている」などと自分に言い聞かせ、厳しくしすぎていないでしょうか? 自分のことはいつも後回しで、家族や他人のことを優先しすぎていないでしょうか?

努力することや他者に配慮する気持ちは、すばらしいこと。でも、その分だけ自分をすり減らしているなら、いつしか「やさしさ」という大切なものを見失ってしまうかもしれません。

頑張っている自分自身に、もっともっとやさしさを向けていきましょう。自分にやさしくすると、日々積もっていく疲れがじんわり癒されます。すると、やさしい気持ちが心のなかからこんこんと湧き出し、周りにやさしさを向けることができます。


最後に、「やさしい自分」になるための3つの習慣をお伝えします。

  1. 他人から受け取っているやさしさに目を向けること
  2. 家庭のなかにある「小さなやさしさ」を発見すること
  3. 頑張っている自分をねぎらい、自分にやさしくすること。

ぜひ、今日から、できることから、始めてみませんか?

本連載の今後のテーマは、第2回「子どもの成長プロセスを知って、子どもにやさしく接するポイント」、第3回「寄り添うコミュニケーションで、夫婦がやさしくなる方法」」です。お楽しみに!

CREDIT
文:大美賀直子 リード文:HELiCO編集部 イラスト:髙城琢郎
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