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ジャーナリングとは? 書く瞑想の実践メソッド&体験談まとめ

忙しさに飲み込まれて、「頭の中がごちゃごちゃしている」「なんだかモヤモヤする」「やりたいことがわからない」と悩んでいる人もいるでしょう。そんなときは「ジャーナリング」がおすすめです。ジャーナリングは「書く瞑想」とも呼ばれ、頭と心を整えるのに役立ちます。

本記事では、ジャーナリングのメリットや手順、テーマ設定、続けるポイントをご紹介します。さらに、編集部が1週間体験したジャーナリングの様子もお届けします。

教えてくれるのは…
藤本 志乃さん
公認心理師、臨床心理士

早稲田大学人間科学部健康福祉学科、同大学院人間科学研究科卒業後、荒川区教育センター、東京大学医学部附属病院腎臓・内分泌内科にて心理士として勤務。その後、日本赤十字社医療センター腎臓内科心理判定士を経て、2020年にオンラインで心サービスを提供するLe:self(リセルフ)を創業。2025年より株式会社働きごこち研究所取締役を兼任。著書に『13歳からのジャーナリング 感情を書き出して頭と心を整える 紙とペンがあればすぐできる!』。
 
[監修者]藤本 志乃さん:https://leself.jp/profile/
X:https://x.com/shino_wellbeing

ジャーナリングとは

ジャーナリングとは、頭に浮かんだ悩みや不安、考えを素直に書き出す行為です。1980年代の論文で、エクスプレッシブ・ライティング(筆記療法)という、感情を書き出す手法が心身の状態を良くすることが明らかになりました。以来、ジャーナリングがマインドフルネスの手法の1つとして注目を集めています。

ジャーナリングは、いまの自分の感情をありのまま書き出します。手が進まないときは、「何を書いたらいいかわからない」と率直な気持ちを書いても大丈夫。感情を吐き出すなかで思考が整理され、書き終わる頃には始める前とまったく違う感情になっていることもあります。

日記との違いは?

日記は、1日の出来事を頭のなかで整理して書き残します。一方でジャーナリングは、内容がまとまっていなくても、文字が汚くてもOK。テーマも書き方のルールもありません。ジャーナリングでは、とにかく“いま思い浮かんだこと”をそのまま書き出す点が特徴です。

ジャーナリングのメリット・おすすめの人

ジャーナリングを続けた結果、どのような悩みが解消されるのでしょうか。ジャーナリングのメリットと、おすすめの人を紹介します。

ジャーナリングのメリット・おすすめの人

ジャーナリングのメリット

メリット1:頭と心が整理され、前向きになれる

書き出すことで自分の気持ちが整理されて、頭と心がスッキリします。ときにはネガティブな感情が出てくるかもしれません。私たちはネガティブ=敵と捉えがちですが、戦わなくてもいいのです。どんな感情も把握し、受け止めることで、前向きな気持ちが芽生え、自己成長につながります。

メリット2:感情に振り回されにくくなる

ジャーナリングで感情を客観的に観察すると、「余裕がないとイライラする」「小さなことでくよくよしがち」といった自分の傾向に気づけます。これにより、不安や恐怖感情を司る脳の「扁桃体」の過剰な反応が抑制されることもあり、グルグルと思考を巡らせることも少なくなるでしょう。

メリット3:自己理解が深まり、自分の軸が見つかる

ジャーナリングで自己理解を深めることで、「やりたいことがわからない」など、気持ちが迷子になる時間を減らせることもあります。ジャーナリングによって気づいた自分の興味や価値観は、進路や人生に迷ったときの道しるべとなるはずです。

メリット4:感情を吐き出して、ストレスを発散できる

社会生活では、ときにルールに沿うことが必要ですが、ジャーナリングにはルールがありません。ジャーナリングをしている時間は何にも縛られず、ストレスから解放された時間を過ごせるでしょう。

ジャーナリングがおすすめの人

頭のなかがぐちゃぐちゃになっている人

何度も同じことを考えてしまう「反芻思考(はんすうしこう)」がある人にもおすすめです。この思考パターンを持つ人は、考えを一旦外に出すことでグルグルと考え続けることから脱することができます。自分の世界に没頭しやすい人や思考の渦から抜け出せない人は、お試しください。

不安感や恐怖感が強い人

不安が強すぎて、その感情に引っ張られてしまう人もおすすめです。「なぜこの不安が出てきたのか?」「何にストレスを感じているのか?」など、感情と状況をジャーナリングで把握してみましょう。

我慢する癖がある人

「自分が我慢すればいい」と気持ちを抑え込んで、モヤモヤしてしまう人にもジャーナリングはおすすめです。ジャーナリングで感情を吐き出していくなかで、「いま自分は怒っている」「あの人のあの行動が嫌だった」という気持ちに気づき、次第に受け入れられるようになるでしょう。

ジャーナリングの方法・手順

ここからは、ジャーナリングの基本的な方法と手順をご紹介します。ルールはないので、以下で紹介する手順を参考に、自分に合う方法を取り入れて実践してみましょう。

ジャーナリングの方法・手順

手順1:紙でもスマホでも! 書くツールを用意する

ジャーナリングで使うツールは、紙、スマホ、パソコンなど、どれを選んでも構いません。出勤前、電車のなか、ランチタイム、夜眠る前など好きな時間・好きな場所で書けるツールを選びましょう。

手順2:テーマは自由。思い浮かんだことを素直に書く

書く内容や文字数にルールはありません。ジャーナリングで大切なのは、思い浮かんだことをありのままに書くことです。書くことがないときは、「何も思いつかない」と書いてOK。テーマを決めたほうが書きやすい人は、このあと紹介する「おすすめのテーマ」を参考にしてみてください。

藤本さん

書く時間の制限はありません。書く手が止まらない日もあれば、何も書けない日もあってOKです。普段、手書きする時間が少ない人は5分くらいで疲れてしまうこともあるので、続けていくなかでちょうどいい時間を探してみましょう。

手順3:書いた紙は破いて捨ててもいい

ジャーナリングは感情を吐き出すことが重要なので、書き終えた紙やアプリのページは破棄してもよいでしょう。破棄したくない人は残してもよいですが、読み返して内容が良い・悪いなどと判断する必要はありません。誰かに見せるものではないので、格好をつけたり背伸びしたりせず、ありのままの気持ちを書き出しましょう。

ジャーナリングにおすすめのテーマ5選

初めてジャーナリングをする時には、素直に自分の気持ちを書き出せない人もいるかもしれません。そんな時は、テーマを決めて書いてみるのがおすすめです。

おすすめのテーマ5選

  • 最近あった嬉しい出来事は?
  • あなたが感じる幸せとは?
  • これからの人生どう生きていく?
  • いま、不安に思っていることは?
  • 最近、イライラしたことは?

「うれしい」「幸せ」などポジティブな気持ちを振り返るもの、「自分のやりたいこと」を深く考えるもの、日常で感じる不安やイライラを吐き出すものなど、自分の状況に合ったテーマを選んでみてください。感情を深掘りしていくことが大切です。ジャーナリングに正解や間違いはないので、出てきた感情を否定せず、ありのままを受け止めてみましょう。

ジャーナリングを続けるコツは?

ジャーナリングを続けるコツ

いつもの習慣の前後に取り入れて、習慣化する

すでに習慣化していることの前後にジャーナリングを組み込むことで、続けやすくなります。ジャーナリングは数分で終わるため、歯磨きや食事、お風呂の前後など、すきま時間を見つけて習慣化しましょう。

いつもスッキリばかりじゃないと知っておく

ジャーナリングを続けると、スッキリするときもあれば、そうではない日も出てきます。「必ずスッキリするもの」ではないので、いろんな感情が出てくるとあらかじめ知っておくと挫折しにくくなります。

ジャーナリング初心者の編集部メンバーが1週間実践してみました

藤本さんから教わったジャーナリングの実践法を、HELiCO編集部の4人が体験。実践してみて感じたことや、得られた効果をご紹介します。

「より自分自身に詳しくなれた」30代女性の感想・効果

寝る前に1分ほど、頭のなかにある言葉をスマホのメモ帳に記録しました。「書き終わったらメモを削除する」と決めていたので、文章が下手でも気にせず、とにかく感情を吐き出せました。幸せに感じること、苦手なことなどいろいろな感情に気づき、少しだけ自分に詳しくなれた気がします。

「夜より朝のジャーナリングが合っていた」40代女性の感想・効果

寝る前に手書きで3分ほどジャーナリングしていたのですが、書き出した内容を反芻してしまい、眠れなくなった日がありました。朝やるようにしてみたところ、スッキリした状態で1日を過ごせるように。楽天的な性格だと思っていましたが、意外と頭はグルグルと考えていたのだなと新たな自分を発見できました。

「日記とは別でジャーナリングを続けたい」20代女性の感想・効果

毎晩日記を書いているのですが、夜は「今日の出来事を振り返りたい」気持ちが優先して、感情を書き出せませんでした。ジャーナリングと日記は違うと理解してからは、朝の通勤時、スマホのメモでジャーナリングをするように。頭のなかの考えを可視化できて、充実した通勤時間を過ごせました。日記もジャーナリングもどちらも続けていこうと思います。

「書いて破ったら気分もスッキリ」40代男性の感想・効果

ジャーナリングのための時間をつくるのが難しく、数回しか実践できなくて若干の後悔があります。あまり多くの時間は使えなかったのですが、寝る前に仕事や私生活に対するモヤモヤを書いた紙を破って捨てたら、心がスッキリ! 翌朝、「今日も頑張るか」と前向きな気持ちが生まれたような気がしました。

藤本さん

感情に気づき、扱い方を工夫する姿勢がとても尊く、心の柔らかさを守る力になると感じました。ジャーナリングは“正解のないセルフケア”でもあります。自分に合う形を見つけた皆さんの変化が印象的ですね。

ジャーナリングに関するよくある質問

ジャーナリングに関する気になるポイントを、公認心理師・臨床心理士の藤本さんが答えてくれました。

Q.藤本さんのおすすめのツールは?

A.コピー用紙とペン
コピー用紙に手書きで思い浮かんだことを書き出し、そのあとは用紙を破いて捨ててしまいます。いま手元にあるもので、すぐに始められるのがジャーナリングの良いところですね。

Q.ジャーナリングは紙のほうが良い?

A.自分が続けやすいツールがおすすめ
スマホやパソコンのタイピングと手書きの両方を試して、続けやすいジャーナリングのやり方を選んでみてください。

手書きのメリットは、自由度が高い点です。縦・横・斜め、どの方向に書いてもイラストを添えてもOK。また怒っているときは筆圧が強くなったり、自信がないときは文字が小さくなったりと感情がにじみ出やすいのも手書きの良いところです。

Q.ジャーナリングを続けていくなかで、トラウマや過去の感情で苦しくなってしまったら?

A.専門家への相談も検討しましょう
苦しさやつらさを感じたらジャーナリングを中断し、専門家に相談することも時には必要かもしれません。どの専門家に頼ったらいいかわからない場合はかかりつけ医に症状を伝え、相談するのが良いでしょう。精神科と心療内科、どちらも診療可能なクリニックもありますが、一般的には以下のように分類できます。

◆ カウンセリング:心理の専門家との対話によって、問題解決に導いてくれる手法。オンライン・オフラインも選べます。

◆ 精神科:精神疾患を専門に診断、治療するクリニックです。うつ病や発達障害、依存症など心の病気が気になる人は相談してみましょう。

◆ 心療内科:ストレスなどが原因となる身体の不調を治療するクリニックです。ストレスによる疲労感やめまい、腹痛など身体の不調が治らない場合は相談してみましょう。

Q.ジャーナリングは毎日続けなきゃ意味がない?

A.気が向いたときにやれば良い
書き出すことがあなたにとって心地が良く、続けたいと思ったら、自分のペースで続けましょう。

Q.ジャーナリングの時間は、朝と夜のどちらが効果的?

A.時間に決まりはなく、効果の違いもない
自分が書いていて心地良い時間や続けやすい時間を見つけていくのがおすすめです。試行錯誤しながら、あなたにとってしっくりくるジャーナリングの方法を見つけてください。

CREDIT
取材・文:HELiCO編集部+ノオト イラスト:ながのまみ
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