0

マンダムに聞く、汗対策グッズの進化はここまできた!

世界で初めてデオドラント製品が商標登録されたのは1888年のこと。20世紀になると、その文化は日本にもやってきて広がりを見せました。

そして現在、ドラッグストアなどではじつに多種多様な汗対策グッズが展開されており、年々めまぐるしい進化を遂げています。こういった製品はいったいどんなふうに開発されているのでしょうか。

これまでさまざまな汗対策グッズを展開してきた株式会社マンダムは、2023年に汗腺を眠らせる技術を開発しました。今回は同社の広報を担当する木村彩子さんに、汗対策グッズの進化や最新事情、活用法についてお話をお伺いします。

教えてくれるのは…
木村 彩子さん
株式会社マンダム 広報部 青山オフィス 主幹

2009年入社。首都圏エリアで個店営業と本部営業を経験した後、2016年からギャツビーの宣伝業務に従事。2020年より広報部にて企業広報とマーケティングPRを行っている。

HP:https://www.mandom.co.jp/

ニーズに合わせて進化してきた汗対策グッズ

―汗の対策グッズといっても、本当に多種多様な製品が出ています。まず、マンダムさんではどのようなグッズを販売しているのか教えてください。

木村さん

当社ではさまざまな汗対策グッズを販売していますが、特に生活者の方から好評いただいているのは汗を拭き取る「シートタイプ」のボディペーパーです。また、脇の下などに直接塗るタイプの「ロールオン」、そして吹きかけるタイプの「スプレー」などさまざまな商品があります。『ギャツビー』『ハッピーデオ』といったブランドで展開しており、男性・女性問わず多くの方々にご愛用いただいております。
 
ここ最近は猛暑が続いている影響を受け、アイスタイプの商品に注目が集まっています。

―御社ではいつ頃から汗対策グッズを販売しているのでしょうか?

木村さん

1987年にmdデオドラントスプレーを発売しました。ギャツビーブランドでは1994年に『ギャツビー デオドラントパウダースプレー』を発売したのが最初です。
 
当社はもともと金鶴香水株式会社という社名で香水や整髪料を取り扱う会社としてスタートしました。生活者の方たちの快適な暮らしにお役立ちしたいという考えで事業を展開しており、汗やにおいのお悩みは、身体的な問題だけでなくQOL(生活の質)にも影響すると考えています。そういったお悩みの解決を目指し、香水から頭髪製品のみならず汗対策グッズへと広がっていきました。

―もともと香水の会社だったんですね。30年近く汗対策グッズを販売していくなかで、変化したことはありますか?

木村さん

生活者が求める「汗対策のニーズ」に合わせて、商品が変化していったと感じています。
 
汗対策商品は、汗による“ベタつき”を解消したいという要望から始まり、簡便にさらさらにしてくれるデオドラントスプレーから拡がっていきました。汗の“ベタつき”を物理的に取り除いてくれるペーパー、“におい”を予防してくれる直塗りアイテムへと、生活者のニーズと共に市場は変化していきました。
 
ほかにも頭皮や身体のにおい対策としてのシャンプーやボディウォッシュ商品、火照りを解消したい人に向けた冷感アイテム……と、生活者のニーズの変化に合わせ、多種多様な商品が出てくるようになりました。
 
とくに、2011年に発生した東日本大震災や、それによって生まれた「節電」への意識により、電力を使わずにクールダウンできる商品の需要が増加しました。ボディペーパーのニーズが高まった転機ともいえるでしょう。
 
現代においても生活者の汗の悩みは、さまざま。幅広い要望や価値観に応えるかたちで、変化し続けている市場ともいえますね。

新技術「汗腺を眠らせる」とは?

―この30年で次々と進化し続けていたのですね。御社では「汗とにおいの研究」も行っています。いつ頃から研究を行うようになったのでしょうか?

木村さん

汗とにおいの研究を始めたのは、2006年頃です。身体的にも精神的にも影響を及ぼすことでQOLに大きく関わる“社会的な問題”と捉え、研究に注力しています。周囲に指摘することも難しいですし、ご自身でも「自分がにおっていたらどうしよう」と不安を抱いているお声も聞いています。
 
そういったQOLに関わるお悩みを解消していきたいという思いから、2,000人以上を対象にした直接嗅覚測定・解析などで体臭に関する研究を進めてきました。
 
2010年頃からは、汗をかく仕組みや汗腺メカニズムの研究も進められ、そのなかで2023年には「汗腺を眠らせる」制汗技術を開発したんです。

―汗腺を、眠らせる!?

木村さん

あくまで“一時的に”なので安心してください(笑)。そもそも汗ってどうやって出てくるか、ご存知ですか?

―あらためて聞かれると、どういうメカニズムなのかわからないですね。詳しく教えてください!

木村さん

まず、私たちは体温上昇時に気化熱を利用して体温を調整する「温熱性発汗」と、ストレス(緊張や興奮)を感じたときに出る「精神性発汗」の大きく2つの方法で汗をかいています。
 
そして汗を出す汗腺は、全身に分布する「エクリン汗腺」と、脇の下や陰部など身体の一部に分布する「アポクリン汗腺」の2種類。脳が「暑い!」「緊張状態だ」と判断すると、汗をかくようエクリン汗腺へ指令が行きます。
 
エクリン汗腺は、コイル状になっているのですが、ポンプのように収縮し、導管から汗をピュッと押し出していることが、当社と大阪大学の共同研究で明らかになりました。

「ここのコイル状の部分が収縮して、ピュって汗を出すんですよ。人体にはこういった汗腺が数百万個あるといわれています」

画像提供:マンダム

画像提供:マンダム

―まるで鼓動を打っているように動いていたんですね。身体中の汗腺たちが、見えないところでこんなに頑張っていたとは……!

木村さん

身体ってすごいですよね! いままでの制汗剤は、汗の出口にフタをする方法で汗を抑えるのが一般的でした。しかし汗の出口にフタをしても、汗そのものを止めているわけではないので、大量に汗をかいた場合には制汗成分が流されてしまい、持続性に課題があったんです。
 
なんとか、汗そのものを抑制することはできないか? 汗をかくメカニズムを解明したことで着想を得ることができ、「眠らせる」技術を開発しました。「眠らせる」というのは、一時的に汗腺の収縮を制御するという意味。これにより、汗腺が眠っている間は汗が出てこない。根本から汗を抑えようという技術です。

―汗腺の働きを解明できたからこそ、生まれた技術だったのですね。

画像提供:マンダム

ボディペーパー、ロールオン、スプレー剤の正しい使い方とは?

―汗対策グッズの正しい使い方についてもお伺いできますか?

木村さん

商品ごとにポイントがあるので、ぜひお伝えさせてください!
 
まず、汗のベタつきを拭き取る「ボディペーパー」ですが、ギャツビーが発売しているボディペーパーは汗とにおいを防ぐことができる医薬部外品が多くあります。しっかり厚みのあるシート材を使用しているので、首から下の汗によるベタつきを好きなだけ拭き取ってみてください。顔は、専用の素材で作られた顔用シートで拭きましょう。
 
また、ボディペーパーで汗を拭き取った箇所にハンディーファンで風を当てると、気化熱が促進され、スースーと清涼感を感じやすくなるのでおすすめです。

―気持ちよさそうですね〜! ボディペーパーはいろいろな香りがあるのもうれしいと思いました。

木村さん

ありがとうございます。製品にとって香りは重要な要素ですので、無香料も含め、さまざまなバリエーションを用意しています。ジェンダーレスに楽しんでいただけるような香りも増えてきました。たとえば、「フリーズピーチ」は男女問わずファンがいる商品。私もそうですが、女性でギャツビー製品を愛用いただいている方も多いんですよ。

実際に「フリーズピーチ」を嗅がせてもらいました。甘すぎない清涼感のある香り

―わぁ〜爽やか! 使った人も周りの人もいい気分になれそうです。ロールオンの使い方も教えてください。

木村さん

ロールオンは、汗をかいたあとに使用する方もいらっしゃるのですが、それではあまり効果が期待できません。予防として、汗をかく前に塗っていただくのが良いと思います。出勤や外出、スポーツや部活をする前など、これから汗をかくとわかっているときに塗っておくのがおすすめです。以下の手順で使ってみてください。

<ロールオン製品のおすすめの使い方>
① ボディペーパー等で汗を拭き取り、清潔な状態にする
② 容器をよく振る
③ 二の腕の裏から脇腹近くまで、脇周辺の広い範囲にたっぷりと塗る
④ しっかり乾くまで待つ
⑤ サラサラな状態になってから服を着る

2024年に発売された、通称「金のロールオン」。先端には大きなボールがついている

木村さん

脇だけでなく、広い範囲に塗ってあげることで衣類への汗ジミ対策になります。また濡れているほうが効果実感がある方もいると思うのですが、制汗効果をしっかりと発揮させるためには「乾かす」ことがポイントです。

―脇の下だけにコロコロと塗っていました! 広い範囲に塗って乾かすことがポイントなのですね。スプレータイプはいかがでしょうか?

木村さん

スプレータイプは、シートやロールオンなど手が届きにくい背中に噴射したり、手軽に使用したいときにおすすめです。背中って意外と汗をかくんですよね。出かける前には、背中にもスプレーすると良いでしょう。日中汗をかいた後は、ボディペーパーで汗を拭き取ってからスプレーするのも制汗対策としておすすめです。

汗をかくのは当たり前。誰もが日常のなかでケアできるようにサポートしたい

―ほかに汗やにおいの対策でできることはありますか?

木村さん

意外と見落とされがちなのが「足の指」ですね。足の裏は気をつけている方も多いのですが、足の指の間や爪の付近はにおいの原因となる菌がたまりやすいんです。
 
しっかり洗うことに加えて、指と指の間もしっかり洗い流す、そしてタオルで水分を吸収して乾かすことも意識していただくと、快適に過ごせるでしょう。

―汗対策グッズに関するさまざまなことをお伺いできて、とても勉強になりました。最後になりますが、汗対策に悩む読者の方々にメッセージをお願いいたします。

木村さん

正しい知識があれば、汗とは上手につき合っていけると思っています。じつは汗そのものは無臭。菌や皮脂と合わさることによって体臭やにおいを出してしまうので、対策によってみなさんの悩みを解決できるのではないか? と考えています。
 
歯磨きをする、髪の毛を整える、メイクをするのと同じように、日常生活のなかでも汗のケアをすることが当たり前になってきたらうれしいなと思っています。
 
当社では、“BE ANYTHING, BE EVERYTHING.”(意味:なりたい自分に、全部なろう。)を企業スローガンに、さまざまな製品を展開しています。汗に悩まず、自分のやりたいことを実現できるようお客様に寄り添いながら、お手伝いできればうれしいです。

CREDIT
取材・文:つるたちかこ 写真:小野奈那子 編集:HELiCO編集部+ノオト
0

この記事をシェアする

関連キーワード

HELiCOとは?

『HELiCO』の運営は、アイセイ薬局が行っています。

健康を描くのに必要なのは「薬」だけではありません。だから、わたしたちは、調剤薬局企業でありながら、健康情報発信も積極的に行っています。

HELiCOをもっと知る

Member

HELiCOの最新トピックや新着記事、お得なキャンペーンの情報について、いち早くメールマガジンでお届けします。
また、お気に入り記事をストックすることもできます。

メンバー登録する

Official SNS

新着記事のお知らせだけでなく、各SNS限定コンテンツも配信!