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寝る前に取り入れたい、モヤモヤ思考を手放すコツとは?

デジタル社会の現代は、働きすぎ、考えすぎ、情報に触れすぎで、寝る直前まで頭のなかがぐるぐると働いている人も多いはず。そんなとき、1日の終わりに頭を空っぽにする時間を意識的に持つことで、心が落ち着いて睡眠の質がよくなるかもしれません。この記事では、寝る前にリラックス時間を確保するメリットや、眠れないときに心を落ち着かせる方法を紹介します。

教えてくれるのは…
精神科医Tomy先生

名古屋大学医学部卒。医師免許取得後、名古屋大学精神科医局に入局。精神保健指定医、日本精神神経学会専門医。現在は心療内科・精神科のクリニック院長として勤務。38万フォロワー突破のXが人気で、テレビ・ラジオなどマスコミ出演多数。 『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』、『精神科医Tomyが教える 心の執着の手放し方』(以上、ダイヤモンド社)『精神科医Tomyの気にしない力』(大和書房)など等著作は30作品を超える。
 
[監修者] 精神科医Tomy先生:https://pdoctortomy.com/
公式X:https://x.com/PdoctorTomy

1日の終わりに頭のなかを空っぽにすることが大切な理由

夜、心地よく眠りに入るには、自律神経系が活動モードの「交感神経」が優位な状態から、休息モードの「副交感神経」が優位な状態に切り替わる必要があります。通常は、体内時計や自律神経の働きにより、夜になると自然と副交感神経が優位になって眠くなるもの。しかし、大きなストレスがかかると、それらのバランスが乱れて、寝つきや睡眠の質にも影響してしまいます。

不安やイライラは交感神経を高めてしまう

たとえば、「重要なイベントの前に眠れなくなる」「絶対に寝坊できないと思うと、かえって寝つけない」といった経験は、誰にでもあるでしょう。交感神経と副交感神経はシーソーのようにバランスをとっており、ストレスや危険を感じ心身が緊張した状態になると交感神経が優位になり、逆に副交感神経の働きは弱まって寝つけなくなるのです。

「疲れているのに、クヨクヨとした考えが浮かんで寝つけない」「眠ろうとするほど、眠れなくなってしまう」といったときも、ストレスにより心身が緊張状態になっていると考えられます。また「クヨクヨと考え続けてしまう」状態は、どちらかというと不安やイライラなどのネガティブな思考に頭(心)が囚われている状態であり、この場合にも交感神経を高めてしまいます。

よい睡眠をとるためには、まず1日の終わりに頭を空っぽにし、心を落ち着かせることが大切です。

「ながら寝落ち」で睡眠の質が低下、スマホも使い方次第

スマホでSNSやドラマを見ながらいつの間にか眠ってしまう……という「ながら寝落ち」が習慣になっている人も要注意です。SNSで不快な投稿が目に入ると、嫌な思いになったり、感情的になったりすることがあります。そこで興奮してしまうと眠りが妨げられてしまうので、寝る前には心が揺れ動くような投稿や動画を見ないようにするなどの工夫をしましょう。

ベッドでモヤモヤ・クヨクヨしない!ネガティブな思考グセを手放すコツ

ベッドに入ると、その日や過去に起きたことを悔やんだり、先々のことが心配になり、いつまでも頭で考え続けたりしてしまう。そんな「持ち越し」「不安の先取り」グセがある人は、考え方や習慣を見直してみましょう。Tomy先生おすすめの方法を紹介します。

1その場で対応できることは1つもないと自覚する

「ひどいことを言ってしまった。嫌われたかもしれない」
「大事な仕事で失敗してしまった。どうしよう」
「明日は試験、自信がないな」
など、頭のなかをぐるぐる巡っている考えの多くは、いますぐには解決しない問題であることが多いはず。だから一度考え始めると、なかなか頭から消えてくれません。でも、いくら考えても布団のなかでは何も解決はしないのです。であれば、「どうせ、いまできることはないのだから」と開き直ることも大切です。

2その日にやることは、朝に考えるクセをつける

スケジュールの余裕は、心の余裕につながります。たとえば、仕事や予定が発生したら、その段階でいつ、何をしたらいいか先々のスケジュールを組んでおきます。そして、1日の始まりである朝に、その日のToDoリストを確認する習慣づけをし、順番に仕事を片付けていきましょう。

夜にはやることがなくなって、開放感で満たされているような状況になっていれば理想的です。心の余裕を確保できるように、あらかじめスケジュールを組んでおけば、夜は自然とリラックスモードになり、よく眠れます。

スケジュールを詰めすぎないことや、ときには予定を柔軟に組み替えたり、やるべきことに優先順位をつけたりすることも大切です。ToDoリストによって「絶対守らなきゃ」と自分を縛るのではなく、「明日できるものは明日やろう」と、線引きができるようになるといいでしょう。

ネガティブな思考グセを手放すコツ(その日にやることは、朝に考えるクセをつける)

3心が不調なときは、予定や体調から整える

気持ちが上がらない、イライラし続けてしまう、楽しいことがまったく考えられないという日は、誰にでもあるもの。そんな日は、思い切ってToDoリストから予定や仕事を減らし、体を休ませましょう。忙しすぎて心と体がついていけないようなときに無理をしても逆効果。思考力が低下して何をしてもはかどらずに、かえって状況は悪化してしまうでしょう。規則正しく食事をとり、体を動かしたり、リフレッシュしたりすることにも時間を使いましょう。

午前中は活動的に過ごし、午後からは徐々にリラックスモードに切り替えていくというのが本来の人のリズムです。午前は「考える系」の仕事に取り組み、午後は「作業系」の仕事に切り替えるというのもひとつの方法です。自分の活動を体内時計や自律神経のリズムに合わせて調整することで、体がまず整い、心もついてくるはずです。

4「一晩くらい寝なくても大丈夫」と言い聞かせる

眠ろう眠ろうと強く思いすぎて、自分にプレッシャーをかけるのはよくありません。ときには、「一晩くらい寝なくても大丈夫」と自分に言い聞かせるのも一案です。緊張状態が解けて、かえってよく眠れるかもしれません。

寝る前の何もしない「ゴロゴロタイム」が快眠のカギ

寝る前の数時間は、「ゴロゴロタイム」と決めておいて、ゴロゴロと寝るだけで何もしない時間を持つこともおすすめです。夕食後はなるべくゴロゴロタイムとするのが理想的ですが、どうしても忙しい日には、寝る前の15分〜30分だけでも、何もしない時間をつくってみてください。ものをつくる、考えるなど生産的なことを一切しないことがポイントです。

忙しいときほど「早く眠らなくては」と考えたり、「1分でも多く睡眠時間を確保しよう」という意識が働いたりして、仕事や家事などの用事が終わると、食事や入浴をパッと済ませてすぐに寝ようとしがちです。それよりも、寝る前にベッドに寝転んで何も考えない、何もしない時間をつくる方が、興奮モードの脳を鎮めることができ、よりリラックスモードに切り替えやすくなります。

寝る前に取り入れたい、モヤモヤ思考を手放すコツ(寝る前の何もしない「ゴロゴロタイム」が快眠のカギ)

ゴロゴロタイムにスマホを手にしてもよいですが、何か作業をはじめてしまったり、SNSのタイムラインを眺めて人の出来事に一喜一憂してしまったりするのは、交感神経が優位になるため、リラックス時間にはなっていないことも。あくまでも「次の週末は何をしようかな」など、楽しいことを考えるような時間にしましょう。

呼吸やポーズに意識を向けるヨガやストレッチなどで、心身のリラックスするのもおすすめです。

ぐっすり眠りたい!寝る前5分の腹式呼吸&ストレッチ
なかなか寝つけない、眠りが浅い気がするなど、睡眠に悩んでいる人は多いもの。ぐっすり眠りたいときには、就寝前の腹式呼吸とストレッチがおすすめです。

筋肉のこわばりをほどき、心身をじんわり癒す、基本の腹式呼吸法とストレッチ4種類を、プロボディデザイナーの松尾伊津香さんに教えていただきました。
https://helico.life/monthly/250304-sleep-stretch-benefits/

頭のなかを軽くして、ぐっすり眠ろう!

心がつらいときやネガティブなイメージを持ち続けてしまうときには、頭のなかを空っぽにすることができると、穏やかな気持ちで眠りに入れるでしょう。寝つきをよくしたい方はもちろん、心がザワザワ・モヤモヤしてなかなか眠れない夜こそ、意識的にゴロゴロタイムをつくってみましょう。

CREDIT
取材・文:及川夕子 編集:HELiCO編集部+ノオト イラスト:naohiga
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