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子連れ旅マスターに聞く!家族旅行を楽しむアイデア

子ども連れの家族旅行をおもいっきり楽しむためには、準備とリサーチがとても大切。「家族旅行を満喫したい」と思いながらも、なかなか実現できずに足踏みしている子育て世代は、具体的にどんな悩みを抱えているのでしょう? 大人も子どもも、みんなで旅を楽しむための秘訣とは?

独身時代から大の旅行好きで、これまで訪れた国は50か国超。結婚・出産後は2人の娘を連れて、国内外を旅してきた“子連れ旅行のエキスパート”であるぐりぐらママさんに、大人も子どももストレスなしで楽しめる旅のアイデアをお聞きしました。

教えてくれるのは・・・
ぐりぐらママさん

2人の娘たちを連れて年間100泊超を旅するトラベルインフルエンサー。JALトラベルサポーター。乳幼児ウェルカムのファミリー向け施設から、高級ホテル、温泉宿まで、国内外のさまざまな宿泊施設や子ども向けスポットをSNSで発信中。総フォロワーは10万人超。
Instagramアカウント:@wamoto_
Xアカウント:@guli_and_gula

子連れ旅行は楽しい、でも悩みも満載!

夏の気配がそろそろ感じられるこの時期、長期休暇を前に旅行の計画を立てているご家庭も多いのでは?

「家族旅行で思い出をつくりたい」
「子どもにいつもと違う景色を見せてあげたい」
「旅先ならではの体験をさせてあげたい」

子育て中の人であれば、きっと誰もが一度はこんな風に考えたことがあるでしょう。子どもと一緒の旅行やお出かけは、家族の絆を深める特別なイベントでもあります。

子連れ旅行のエキスパートであり、5歳と4歳の姉妹を育てる母親でもあるぐりぐらママさんは、家族旅行の魅力を次のように考えています。

ぐりぐらママさん

子どもにとって、家族旅行はいろんな価値観に触れて視野を広げる絶好のチャンスです。普段とはまったく違う場所へ行き、いつもと違う食事や生活スタイル、環境に触れると、『自分の知っている世界がすべてじゃないんだ』と肌で実感できますよね。親子で一緒に楽しみながら、いろんなことを吸収できる。それが家族旅行の魅力です。

とはいえ、子連れ旅行はなかなかハードルが高いのも事実です。

そこで、HELiCOでは「家族旅行の悩みごと」について、30~40代の読者を対象にアンケートを実施。子育て中の皆さんが抱えるリアルな悩みを紹介しながら、それらを解決するヒントについて、ぐりぐらママさんにお聞きしました。

こんな声が集まりました!

  • どこに行くのかを決めるのがまず大変
  • 家族全員が楽しめるプランを考えるのが難しい
  • 宿泊先が赤ちゃん歓迎かどうかわかりづらい、ファミリー歓迎の宿を探すのが大変
  • おむつ、ミルク、離乳食、着替え、ベビーカーなど子どもの荷物がかさばる
ぐりぐらママさん

乳幼児がいるご家庭であれば、まずは1~2泊と短めのスケジュールで、近場の温泉でゆっくりするような旅行をおすすめします。この時期は、“大人が行きたい場所に赤ちゃんにもつき合ってもらう”ステージですから、長期の海外旅行などは避け、無理のないスケジュールで計画を立てるといいでしょう。
 
おむつ、離乳食などは、現地調達がベスト。無理に全部を持って行こうとすると荷物の量が増えて大変ですから、現地のドラッグストアやホテルで入手すると身軽に動けるようになります。ホテルで小分けのものが販売されていたり、宿泊プランによってはおむつや離乳食がもらえたりするものもあります。
 
3泊以上で衣類がかさばるようなら、ホテルの洗濯機で洗濯するか、ランドリーサービスを利用するのがおすすめ。わが家は3泊以上の家族旅行であれば1~2泊分の着替えのみ持参して、あとは現地で洗濯しながら着回しています。
 
ベビーカーを持参するかどうかはケース・バイ・ケース。お昼寝がマストだった乳幼児期は、コンパクトに折り畳める小型のベビーカーを家から持参していました。あちこち移動しながら観光したいのであれば、使い慣れているベビーカーを持参したほうがラクかもしれません。
 
逆に、ゆったりとホテルステイをするのであれば、ホテルのベビーカー貸し出しサービスを利用すると便利です。こうしたサービスがあるホテルや空港、商業施設が最近は増えているので、旅行先が決まったらレンタルできる施設があるかチェックしておきましょう。

家族みんなが楽しめる計画を立てるポイント

こんな声が集まりました!

  • 家族みんなが楽しめる観光地となると意見がまとまらない
  • きょうだいの年齢差があるため、上の子と下の子では行きたい場所が違ってしまう
  • 乳幼児が楽しめるレジャーを優先した結果、子どもが主役、大人は付き添いの気分になって疲れてしまった
ぐりぐらママさん

子どもが大きくなってきたら、家族旅行は基本的には「子どもが行きたい観光スポット」を優先させるとうまくいきます。
 
まずは、保護者が旅行先をリサーチして、「うちの子はこれが好きそう」「これなら楽しめるのでは?」と思うスポットを、どんどん子どもにプレゼンしてみましょう。3歳以上ともなると遊びの好みも子どもによって違います。本人の意見を聞きながら、一緒に行きたい場所を絞り込んでいくことで出発前から期待感も高まっていきます。
 
一方で、きょうだいの年齢差があったり、遊びの好みがまったく違う場合は、「お姉ちゃんはママと美術館」「お昼寝が必要なパパと赤ちゃんはホテル」のように、二手に分かれるのもアリ。
 
とはいえ、大人だって旅行で楽しみたいし癒やされたいですよね。そんなときは、1泊目は子ども向けの設備が充実したホテル、2泊目は大人がゆったり楽しめるちょっと高級なホテル、とアクティビティ以外の部分で大人が楽しめるポイントをつくってメリハリをつけるといいでしょう。

移動中の楽しみ方、乗り物酔いの対処法は?

こんな声が集まりました!

  • 長時間の移動に子どもが飽きてぐずってしまう
  • 乗り物酔いがひどいため、新幹線やレンタカーで嘔吐したことも
  • お昼寝のタイミングに合うようスケジューリングしたが、失敗したときは地獄

車と公共機関、どちらの移動がラク?

ぐりぐらママさん

車での移動は荷物をたっぷり載せられる、空間ごと移動できる、現地で柔軟に観光地を回れるなどのメリットがありますが、渋滞にハマると時間が読めなくなるのが難点。個人的には、しっかりと暇つぶしアイテムを用意したうえで、電車・バス・新幹線・飛行機などの公共交通機関を利用するほうがラクに感じられます。
 
寝付きの悪い子だったら昼便の方がいいですが、昼の長時間フライトでタブレットやゲームだけだとどうしても飽きてしまうので、長時間フライトだったら基本は夜便の方が楽です。エコノミー席なら、なるべくフラットに近い状態になる飛行機グッズもいろいろとあるので、子どもが普段通り寝やすい環境を整えてあげましょう。
 
お昼寝が必要な乳幼児は、普段お昼寝している時間帯を搭乗のタイミングにあてるとよいでしょう。私のおすすめは、コニーのスリング(抱っこひも)での搭乗直前の寝かしつけ。フライトの搭乗時刻が近づいたら、スリングに入れて歩き回っていると、うまくいけば搭乗後すぐにすやすやと眠ってくれます。軽量でコンパクトなので携帯しても邪魔になりません。子どもと大人、両方の負担がだいぶ減るはずです。
 
また、子連れ旅行の悩みでよく聞くのが、乗り物酔い対策です。わが家の娘たちは少し前まではまったく乗り物酔いがなかったのですが、最近になって長女(5歳)が車で酔ってしまったため、それ以来、出かけるときは子ども用の酔い止め薬を常備しています。車の場合、ずっと下を向いているとどうしても酔いやすくなるため、視線が下になる姿勢は避けて、移動中も楽しく過ごせる方法を提案してあげましょう。

移動中に役立つアイテムは?

ぐりぐらママさん

数時間かかる移動であれば、子どもが楽しめるアイテムは必須。わが家の場合は、移動の直前に新しいおもちゃや幼児向け雑誌を買って乗り切りました。とくに、幼児の心に刺さるあらゆる要素や工夫が詰まった幼児向け雑誌は万能で、シールを貼ったり工作をしたりお話を読んだりと、一時期は毎回のように空港の書店で購入していました。
 
もう少し子どもの年齢が上がってからは、やはり頼りになるのはタブレットです。子どもたちが好きでいつも見ている動画にプラスして、まだ見ていない新しい動画を出発前にオフラインでダウンロードしておき、移動中はキッズヘッドフォンを装着して視聴するのがいまのわが家の定番に。お気に入りのブランケットと動画があれば移動の時間もごきげんに過ごしています。
 
ほかにも機内に持ち込めるフットレストのように、足を伸ばしてリラックスできるアイテムなど、移動の負担を減らせる便利アイテムがいろいろありますので、ぜひ探してみてください。

宿泊先で気になるのは食事、寝具、体調不良

こんな声が集まりました!

  • 添い寝をしているとき、ベッドから子どもが落ちてしまわないか不安
  • 子どもが食事中に騒いだりはしゃいだりするのが心配
  • 偏食で食べられるものが少ないので、旅先で食べてくれるかどうかわからない
  • 突然の発熱や体調不良のときに駆け込める病院があるか気になる

大人も子どもも満足な食事スタイルは?

ぐりぐらママさん

宿泊先での食事に関しては、お部屋でゆったりと家族だけで楽しめる部屋食が一番リラックスして食べられるはず。ただし、部屋食付きの旅館は選択肢が限られていて、お値段も高い傾向にありますから、予算的に難しいこともあるでしょう。
 
それを踏まえたうえで、私が考える家族旅行の食事の正解は、ビュッフェです。各自が好きなものをカジュアルに食べられるビュッフェは、子どもも大人も大好きなはず。また、ビュッフェ会場はたいていにぎやかなので、人目をそこまで気にしなくても大丈夫です。数は少ないのですが、ビュッフェ会場のすぐ近くにキッズスペースが設置されているとなお最高です。大人はゆっくり食事を楽しみ、子どもたちが遊んでいる姿も見守れますから。
 
ビュッフェ形式ではないホテルのレストランで食事をする場合は、事前に子どものメニューだけをホテル側に伝えておきます。席に着いた瞬間にお子さま用の料理を出してもらう、というリクエストをお願いしておくと、子どもが騒ぐことが減ってとてもおすすめです。
 
子どもにとって一番苦痛なのは、「待ち時間」です。コース料理をゆっくり食べるなんて行為は、子どもにとってはつまらなさの極みですから(笑)、大人は待ち時間を減らす工夫をできる限り心がけてあげましょう。ファミリーに人気の星野リゾートはさすがにそのあたりが慣れていて、リゾナーレでは子どもが座った瞬間にお子さまプレートを出してくれました。
 
また、離乳食を温めてもらうことはできるのか、幼児用のカトラリーや食器はあるのか、などの情報は宿泊施設の公式サイトにも載っていない場合が多いので、事前に電話で問い合わせておくと安心です。

旅館とホテルで気をつけるポイントは?

ぐりぐらママさん

幼い子連れでの宿泊は、就寝中に寝返りで落ちてしまわないかも心配ポイントのひとつ。赤ちゃん連れで行くときは、基本は和室かローベッドを選ぶと安心です。
 
また、宿泊先を選ぶときに私が必ず事前にチェックするのは、部屋の間取り図。ツインルームの洋室であれば、ベッド同士の間はどれくらいなのか、ユニットバスの配置はどうなっているのかなどを写真で確かめて、わからないところはホテルに直接問い合わせるようにしています。そのときにツインベッドであればくっつけてもらえるかも確認しています。
 
間取りに限らず、ホテルや旅館の設備などで少しでも気になるところがあれば、「サイトを見てもそういう情報が載っていないからわからない」とモヤモヤしたままあきらめるのではなく、知りたいことを直接問い合わせるのが一番確実です。
 
今はほとんどの人がネットで宿泊の申込みをしていると思いますが、その際に備考欄に「生後6か月の赤ちゃん連れです」と一言こちらの状況を書いておくだけでも、宿泊施設側の対応は違ってきます。和室であれば、あらかじめ花瓶や壺などの割れそうなものを移動する配慮をしてくれますし、離乳食やおむつのサービスについて提案されることも。赤ちゃん用のおもちゃを用意してくれるホテルもありました。
 
ホテルや旅館を味方につける。これも家族旅行を快適に楽しむ秘訣です。

旅先での突然の体調不良、どうする?

ぐりぐらママさん

旅先で子どもが体調を崩した場合に備えて、宿泊先の近くに病院があるかも地図アプリなどでチェックしておきましょう。子どもの健康保険証、乳幼児医療証、母子手帳も持参しておくと、病院にかかったときにスムーズに対応してもらえます。海外旅行の場合は、パスポートのコピーも紙で印刷して持参すると安心です。
 
念のため、わが家ではかかりつけの小児科医で処方された解熱剤と、下痢止めの薬も毎回旅先に持って行きます。
 
また、張り切って計画を立てたものの、直前に子どもの体調不良で泣く泣く旅行をキャンセルした、というケースもよく聞きます。実際、私も子どもが風邪を引いて、2回ほど直前キャンセルして全額支払ったことがありました。
 
そうしたケースの救済策として、旅行のキャンセル保険というのもあります。これは急な病気や怪我、交通機関の遅延、子どもの体調不良などで旅行をキャンセルした場合に、キャンセル料を補償してくれる保険です。さまざまなプランがありますので、検討してみてもいいかもしれません。

まだまだある!子連れ旅行をラクにするアイデア

最後に、「家族旅行での悩みや困りごとを解決するために、実践していること」について、皆さんから寄せられた回答をご紹介します。ぐりぐらママさんのアドバイスとあわせて、ぜひ参考にしてください。

こんな声が集まりました!

  • 子連れ旅のYouTube動画を見て予習しておく
  • 出発の1週間前から体調管理をして、無理をしないようにする
  • 子どもが成長してきたら、子どもができる準備はできるだけ自分でやらせる
  • 祖母を誘って、大人の数を増やすことで少しでも現地の負担を減らす
  • とにかく写真をたくさん撮って、後日にそれを見ながら楽しめるようにする
  • 余裕を持ったスケジュール、周辺の天気情報を事前に確認、体調不良なら直前でもキャンセルする勇気を持つ
ぐりぐらママさん

「家族旅行には賞味期限がある」という言葉があります。子どもは小学生になったら学校や塾・習い事など休みづらい予定が増えてくるし、いずれは親よりも友達と一緒のほうが楽しくなってくるはず。
 
だからこそ、「来年ね」なんて先延ばしにせずに、「いま」のわが子と一緒に家族で旅行ができる貴重な時間を私は大切にしたいと思っています。一緒においしいものを食べたり、ゆっくり温泉に浸かったり、初めての経験をして成長する姿を間近で見たりと、日常ではなかなかできない時間が持てるのも家族旅行のよさです。
 
準備の大変さやいろんな不安はあるかもしれませんが、思い切って行ってみるとだいたいのことは何とかなります。予定通りに進まなかったり、アクシデントが起きたりするのも、旅先でなら当たり前のこと。それもきっといい思い出になるので、ドンと構えて気楽に出発しましょう。
 
もうひとつ、最後におすすめしたいのは、旅行が終わった後に夫婦で旅のハイライトを振り返ってみることです。「あのとき、うちの子めっちゃ輝いてたよね!?」「次はこんな経験もさせたあげたいね」と子どもの成長の喜びを夫婦で分かち合うことが、次の旅行をポジティブに楽しむ気持ちにもきっと繋がるはずです。

CREDIT
取材・文:阿部花恵 編集:HELiCO編集部+ノオト イラスト:いよりさき 図版:新藤麻実(linen inc.)
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