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旅先でもぐっすり眠りたい!快眠を導く10個のアクション

旅先でぐっすり眠れなかった……という経験はありませんか? 慣れない環境で寝つけなくなったり、眠りが浅くなったりすることは珍しくありません。しかし、体調を崩さずに旅を楽しむためにも、睡眠はできるだけしっかりとりたいところ。

本記事では、旅先で眠れない原因とともに、旅先でも眠れるようにするための10個のアクションを紹介します。睡眠の質を上げるために普段からできるポイントもありますので、旅のときだけではなく、ぜひ今夜から取り入れてみてくださいね。

教えてくれるのは・・・
友野 なお先生
睡眠コンサルタント、株式会社SEA Trinity代表取締役

順天堂大学 大学院スポーツ健康科学研究科博士前期課程にて睡眠を研究、修士号を取得。日本公衆衛生学会、日本睡眠学会、日本睡眠環境学会 正会員。行動療法による睡眠改善、快眠を促す寝室空間づくりを得意とする。「睡眠から日本を元気に!」をスローガンに、全国での講演活動や企業の商品開発、執筆活動などを行っている。

旅先で眠れない3つの原因

ホテルや旅館などでの宿泊は、旅の楽しみのひとつ。しかし、なかには旅先だと眠れなくなってしまうという方も。旅先で睡眠の質が低下してしまう原因は、大きく分けて3つあると考えられます。

1環境の変化

ホテルや旅館は、照明の明るさや周辺の音の聞こえ具合などが、慣れ親しんでいる自宅と異なります。また、ベッドやお風呂、トイレなどの位置関係も普段と違うため、自分の動き方(動線)も変わり、気づかぬうちに緊張状態になっていることがあるでしょう。部屋の温度や湿度の調整が難しいことなども、熟睡を妨げる原因となります。

2体に合わない寝具

普段と異なる寝具を使うため、寝心地の悪さを感じることがあります。寝具に違和感を感じる理由は、「硬さ(やわらかさ)」「高さ(低さ)」「素材や感触の違い」など多岐にわたるもの。たとえ高級なマットレスや枕、ピンと張られたシーツであっても、自分の体にフィットしなければ、落ち着いて眠れなくなることがあります。

3普段と異なる刺激による興奮

旅先では普段見ることのない景色を見たり、初めてのアクティビティに挑戦したり、その土地のおいしいものを食べたりする機会があります。これらは旅の醍醐味ではありますが、興奮状態が遅い時間まで続くと、なかなか眠れない……という状況に陥ってしまうこともあります。

環境が変わると眠りにくい「センシティブ・スリーパー」とは

このように、寝る環境が変化すると寝つけなくなったり、眠りが浅くなったりする人のことを「センシティブ・スリーパー」と呼びます。自分もしくは家族や身近な人がセンシティブ・スリーパーだと思われる場合は、出発前から準備しておくとよいでしょう。

旅先でよく眠るための10個のアクション

睡眠の質を上げるために最も重要なのは、「リラックスする」こと。そのためには、旅先でも、できるだけいつもの自分に近い状態で過ごすことが大切です。具体的にできる10個のアクションをご紹介します。

まずは10個のうちひとつでも、取り入れやすい方法から試してみてください。

1枕カバーを持参する

寝具が体に合わないと、旅先で眠れなくなる可能性があるのは前述のとおり。普段使用している枕を持っていければいいのですが、荷物が増えてしまうため、実際にはなかなか難しい場合も……。

そこでおすすめなのが、顔に触れる面積が広い枕カバーや普段枕に巻いているタオルを旅先に持っていくこと。枕の高さや硬さが普段と異なっていても、いつもの感覚に近づけることができるので、安心感につながります。

2パジャマを持参する

館内着や浴衣が用意されているホテルや旅館は多いですが、いつもの自分に近い状態で過ごすには、普段からパジャマを着る習慣をつけておいて、旅先にもそのパジャマを持参するのがベストです。

日ごろ、外では着なくなったTシャツやジャージを寝るときに着用している方もいると思います。ですが、それらと、睡眠に特化してつくられている「パジャマ」では、就寝時の快適さが異なります。ぜひパジャマを着用するようにしてみてください。特に綿素材のパジャマは肌触りがよく洗濯もしやすいうえ、手ごろな価格のものが多いのでおすすめです。

3「就寝時の香り」を決めておく

毎日、あるいは旅行の1~2週間ほど前からピロースプレー(※)などを使い、普段の就寝の記憶と香りを結びつけておくのもおすすめです。旅先にも同じ香りを持参して就寝前に嗅ぐことで「寝るときの香りだ」と脳が認識し、リラックスして眠りにつきやすくなります。

※ピロースプレー…寝具などに吹きかけて使うアロマミスト

4入浴を就寝の1時間前にする

入浴を就寝の1時間前にするメリットは2つあります。

ひとつは、習慣化によって睡眠への準備が整うこと。旅先では、いつもと違ったタイムスケジュールや動線で行動することになります。そうした違いも睡眠に影響することがあるため、普段から就寝1時間前に入浴する習慣をつけておいて、旅先でも同じように過ごすとよいでしょう。あらかじめ習慣化しておくと、旅先でも普段と同じように入浴後、睡眠に向けた準備を体が始めるようになります。

もうひとつは、体を入眠しやすい温度に整えられること。睡眠と体温のリズムには密接な関係があり、深部体温(体の内部の温度)が下がると眠気が起こるとされています。就寝の1時間程前に入浴し一度体温を上昇させると、そこから徐々に体が熱を逃がしていくため、布団に入るころに深部体温が下がります。

そのため、就寝直前や熱めのお湯での入浴は、就寝までに深部体温が下がりにくく、睡眠に影響してしまうので注意しましょう。

5「入眠儀式」を決めておく

入眠儀式とは、普段から「これをやると自分は眠れる」という行動を決めておく一種の自己暗示です。就寝前に必ず同じ行動をする習慣をつけると、眠りにくいときでも、その行動によって「寝るスイッチ」を押しやすくなります。

たとえば、前述の②・③・④も、入眠儀式と関連しています。

入眠儀式の一例

  • パジャマに着替える
  • 心地よい香りをかぐ
  • 入浴を就寝の1時間前にする
  • ハーブティーを飲む
  • ゆったりとした音楽を聞く
  • 1行日記を書く
  • いつも使っている歯ブラシで歯を磨く
  • ハンドクリームを塗る
  • 塗り絵をする

入眠儀式は、下記のポイントを踏まえながら、なるべく簡単な行動を選びましょう。

入眠儀式を決めるときのポイント

  • 毎日繰り返すことが負担にならないような気軽な行動にする
  • 物を使わない、あるいは旅先にも持っていけるような物を使う
  • 心身に興奮や苦痛を与えるような行動(筋トレなど)にはしない

6レッグウォーマーをつける

じつは、寝る際に手首と足首が温まっていることは睡眠における重要なポイント。特に足首は季節に関係なく冷えやすいため、お風呂から上がったあとにレッグウォーマーをつけるのがおすすめです。

なかなか足首が温まらない場合は、レッグウォーマーの上からドライヤーの温風を当てると効果的。

普段から冷えが気になる方は就寝中もつけたまま、特に気にならないという方は就寝中は外してOK。なお、レッグウォーマーは締めつけが強いと、逆に血行を悪くしてしまうこともあるため、ゆるりとしたつけ心地のものを選ぶようにしましょう。

7カーテンを少し開けておく

ホテルや旅館では、完全遮光カーテンが使われている部屋もあります。遮光カーテンを閉め切ってしまうと、朝になっても太陽の光が部屋に差し込まないため、体内時計が狂ってしまうことも。

スッキリ起床するためには日光を浴びて体内時計をきちんと働かせることが重要です。10cmほどでいいので、就寝のタイミングでカーテンを少し開けておくようにしましょう。

8乾燥対策をする

湿度は55%前後がベストといわれています。ホテルは部屋の空気が乾燥していることもあるため、加湿器が部屋についている、もしくは借りられる場合には加湿をするようにしましょう。

加湿器がない場合には、お風呂に熱いお湯を張ったり、市販の水分を含んだ保湿マスクなどを使ったりしてみてください。

9スマートフォンやPCを手放す

旅行中は、写真を見返したり、翌日の予定を立てるために調べ物をしたりと、スマートフォンやPCを遅くまで触ってしまう傾向があります。就寝1時間前からはそういったデバイスを手放して、脳を興奮状態から就寝モードに切り替えるようにしましょう。

10就寝3時間前までにご飯をすませる

食べ物を消化するには2~3時間ほど必要とされるため、睡眠のことを考えるのであれば就寝3時間前までに夕飯をすませておくのがベスト。消化活動が行われていると、体は睡眠よりもそちらの動きを優先してしまい、眠りが浅くなってしまう可能性があるのです。

とはいえ、旅先では、その土地ならではのおいしいものを食べたり、お酒を飲んだりすることも楽しみのひとつ。無理のない範囲で調整してみることをおすすめします。

それでも眠れないときにはどうする?

睡眠のためにしっかりと準備してみたけれど、どうしても眠れない日もあるかもしれません。

30分以上寝つけないとき、あるいは「今日はなんだか寝つけなさそう」と感じたときは、無理にベッドで横になり続けるのはやめて、一旦ベッドの外に出ましょう。本来、心や体が休まるはずのベッドを「なかなか寝つけない場所」と認識してしまい、その日以降の入眠に影響を及ぼす可能性があるためです。

眠れない夜に気をつけたい3つのきまり

ベッドを出たあと、どんな風に過ごすのがよいのでしょうか。3つのきまりを紹介します。

光の刺激を受けない単調な作業をする

眠れないときにTVやPC、スマホなどの光る画面を見るのはNG。同じ動作を繰り返すような作業をするのがおすすめです。(例:読書、塗り絵、ネイルなど)また、それらを行う際は、部屋全体を明るくせず、間接照明やブックライトを利用するのが望ましいです。

時計を見ない

時計を見てしまうと「あと●時間しか眠れない」と無意識に計算をしてしまい、余計に脳が興奮してしまいます。寝つけないときこそ、時間は気にせずにリラックスできるように心がけましょう。

眠くなったらすぐにベッドに戻る

作業をしていると「ここまではやりたい」などと感じることもあると思いますが、「眠い」と感じたタイミングは逃さないように注意しましょう。

眠れないときにおすすめの本

読書は取り入れやすい方法のひとつですが、本の内容には要注意。ミステリーやサスペンスなど、続きが気になってしまうものや描写が刺激的なものは、寝るタイミングを逃したり脳が興奮したりしてしまうため、避けましょう。また、頭を使う自己啓発本や語学学習などもNG。

特におすすめなのは、小学校低学年向けの物語の本や、自分がまったく興味のない分野の本。ぜひ、「眠れないとき用の1冊」を用意してみてはいかがでしょうか。

旅先でもぐっすり眠ることができれば、よりエネルギッシュに過ごすことができます。どこでもぐっすり眠ることができるように、普段の生活にも少しずつ眠りのためのアクションを取り入れてみてください。

CREDIT
取材・文:HELiCO編集部+ノオト イラスト:すぎやままり
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