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薬剤師が紹介する、旅に欠かせない【常備薬リスト】

せっかくの旅行も、現地で体調を崩してしまっては全力で楽しむことができません。一方で、旅行中は普段と異なる生活リズムや食事などから、体調を崩しやすくなってしまうのもまた事実。だからこそ、予防・対策できる体調不良には、市販薬を上手に活用していきましょう。この記事では、薬のスペシャリストともいえる薬剤師自身が、旅行に持っていく薬を紹介します。ぜひ、旅行のおともの参考にしてみてください。

教えてくれるのは・・・
小林 秋景さん
アイセイ薬局 中野島店 店長

大学卒業後、病院薬剤師として勤務。地域医療にもっと関わりたいと思い、アイセイ薬局へ転職。現在は店長として勤務。

旅行に薬を持っていきたい2つの理由

旅に行くことが決まると、どんな場所に行こうか、なにを食べようか、どんなアクティビティに挑戦しようか……と考えるだけでワクワクしますよね。だからこそ、出発前の段階では、「現地で体調が悪くなったとき」に対する意識は薄れてしまいがち。しかし、旅行のときこそ薬を持っていきたい2つの理由があります。

旅行中は体調を崩しやすい

旅行中は食事や生活リズム、運動量など、さまざまなことが普段の生活とは異なります。また、旅行を思いっきり満喫したい! と、少々無理なスケジュールを組んだり、食べすぎてしまったりすることもあるのではないでしょうか。

小林さん

自分自身は楽しさを感じているがゆえに、少しの疲れや体調の変化には鈍感になってしまうもの。旅行で羽を伸ばすことは、ストレス解消になるというよい側面がある一方で、いつもは健康な方であっても「体調を崩しやすい要素がそろっている」ともいえるのです。

すぐに薬を入手できない可能性がある

旅先で体調が悪くなってしまってから、いざ薬を購入しようと思っても、薬局が滞在先の近くにないことも考えられます。また海外の場合には、慣れない言語を使って自分の症状に合う薬を手に入れる必要があるため、さらにハードルが上がります。

小林さん

薬が必要な状況にならないことが一番ですが、「備えあれば憂いなし」という言葉の通り、あらかじめ薬を準備しておけば、もしものときに役立ちます。

薬剤師が旅先に持っていく薬とは?

では、実際に薬剤師の小林さんは、旅先にどのような薬を持っていくのでしょうか。

1解熱鎮痛剤

旅先では、気圧や気温の変化、あるいは寝不足によって頭痛が生じてしまうことも。女性の場合、思いがけず生理になってしまう可能性もあります。そんなときに頼れるのが、解熱鎮痛剤(痛み止め)です。

小林さん

痛みが出始めたら、早めに飲んで対処しましょう。薬剤師や登録販売者に相談して、自分の症状や体質に合ったお薬を選んでください。

2酔い止め薬

車や飛行機、船など、旅行の際には乗り物に乗る機会も増えます。「乗り物酔いをするかも……」という不安もストレスとなり症状を招く要因となるため、酔いやすい人は事前に酔い止め薬を持参・服用するようにしましょう。

小林さん

睡眠不足や空腹・満腹状態も車酔いを招く要因といわれています。乗り物に乗る際には、あらかじめコンディションを整えておくのがベストです。

3整腸剤

環境や食事の変化により、旅先でお通じがなくなってしまったり、逆にゆるくなってしまったりすることも。そうしたことを見越して、腸内環境を整える働きのある整腸剤を、旅行前から服用しておくのもよいでしょう。

小林さん

整腸剤は含まれる菌やその人の体質などによって、効果の現れ方や現れるまでの時間に差が出ます。そのため、事前の準備として、薬剤師に相談しながらいくつかの種類を試しておくのもよいでしょう。

4胃腸薬

整腸剤が腸内環境を整える役割を持つ一方、すぐに対処したい胃腸の不調にアプローチしてくれるのが胃腸薬です。食べすぎ・飲みすぎなどによって生じた胃痛や胃もたれ、胸やけ、下痢など、とにかくいま出ている症状を抑えたい場合は、胃腸薬を服用してください。

小林さん

ひとことで胃腸薬といっても、胃の運動を活発にして症状を改善するものや、反対に胃の運動を抑えるものも。症状に合わせて使用できるよう、普段どのような胃腸の不調が現れやすいかを把握しておくようにしましょう。

5目薬

旅行中は、コンタクトレンズの着用時間がいつもより長くなる、移動中にコンタクトレンズを装着したままウトウトしてしまう、外を歩き回ることで目が日焼けするなど、ドライアイになりがち。そんなときのために、ぜひ目薬も準備しておいてください。

小林さん

目の疲れは脳にストレスがかかり、疲労感につながるともいわれているので、目のケアは重要です!

「自分に合った薬」を探し、飲み合わせにも注意を!

薬は、入っている成分や服用する人の体質などによって、効き目に差があります。また、現れる不調も人によってさまざま。普段から「自分(症状)に合う薬」を探しておくことが大切です。

そこで気をつけたいのが、「飲み合わせ」。市販薬同士やサプリメントとの飲み合わせ次第では、期待できる効果がきちんと現れなくなってしまうことがあります。

「自分に合った薬探し」をする際には、ほかにどんな薬を飲む可能性があるか、どんなサプリメントを飲んでいるかをきちんと薬剤師に伝えましょう。

また、市販薬も処方薬も、必ずその薬の注意書きを読み、服用方法を守ってください。

普段服用している薬とお薬手帳も忘れずに!

持病で普段から服用している処方薬がある場合、予定通りに帰宅ができなくなってしまうことも考え、薬は何日分か多めに持っていくのが望ましいでしょう。持ち運び用のピルケースに数日分を入れて持っていく方もいますが、薬の品質のことを考えると、シートの包装ごと持っていくのがベストです。

そして、注意したいのが、薬の服用の仕方。旅行時は普段と違った生活リズムになるため、薬を飲み忘れたり、食事と食事の間の時間が短くなってしまったり、逆に長時間空いたりすることも。

飲み忘れたときに、気づいた段階で服用したほうがよいのか、もしくは次の食事のタイミングでの服用にしたほうがよいのかなど、イレギュラーな薬の服用について、事前に主治医やかかりつけ薬剤師に相談をしておくとよいでしょう。

また、お薬手帳も忘れずに持参しましょう。旅先で初めて訪れる薬局や医療機関でも、お薬手帳を見せれば服用中の薬の詳細や過去の病気・アレルギー・副作用などを正確に伝えることができます。そうすることで、新たに薬を処方してもらう場合に、副作用や飲み合わせのリスク軽減につながります。スマートフォンアプリを使ったお薬手帳なども便利なので、活用してみましょう。

海外渡航時は「薬剤携行証明書」が必要な場合も

海外に持病の処方薬を持っていく必要がある場合、入出国時の検査でその薬がどのようなものか、何のために必要なのかの説明を求められることもあります。そのような事態に備え、薬や病気について説明できる文書(薬剤携行証明書)を持っていくと安心です。医療機関で発行してもらうよう相談をしてみてください。

なお、処方薬・市販薬ともに包装を開けてケースに移し替えてしまうと、どのような薬か確認ができずに持ち込みができなくなってしまうこともあるため、薬剤は元の容器(パッケージ)のまま持参するようにしましょう。

国によっては医師の診断書などが必要になる場合もあるため、事前に確認をしましょう。海外への薬の持ち込みについては、厚労省のサイトで詳しく確認することができるので、参考にしてみてください。

【厚生労働省】海外渡航先への医薬品の携帯による持ち込み・持ち出しの手続きについて

旅行中、薬を服用するシーンがないことが一番ですが、事前にきちんと準備をすれば安心につながります。普段はあまり薬を持ち歩かないという方も、旅行の際にはぜひ自身に必要になりそうな薬を準備するようにしましょう。

CREDIT
取材・文:HELiCO編集部+ノオト イラスト:Mariko Fukuoka
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