大切な人の、飲みすぎのこと。
お酒を飲む家族や身近な人の様子が「なんだかおかしい……」と思ったら、自分たちだけで抱え込まずに、ぜひ早めに専門機関に相談を。対応のポイントと主な相談先をお伝えします。

心理的なストレスや不安が、しばしば大量飲酒の引き金になります。お酒を飲んでいないときに、「最近何かあった?」「よかったら話してほしいな」など、お酒の量が増えていること自体を主題にするのではなく、本人の気がかりや不安に思っている事柄について聞いてみるとよいかもしれません。「なぜあなたは……」と問い詰めず、「私」を主語として話しかけ、「(私は)あなたをとても心配している」と率直・簡潔に伝えることも大切です。

悔しくて腹が立っても、「過去の失態や行動を責めない」対応を。責められるとそのこと自体がストレスとなって、さらに飲酒欲求が高まったり、お互いの溝を深めることにつながってしまうためです。記憶をなくすような飲み方は危険な飲酒で、アルコールへの依存度が高まっている可能性があります。また、家族や周囲にいる人も気持ちを発散できる場が必要です。下の「主な相談先リスト」を参考に、ぜひ相談を。

適量を超えた飲酒が続くと、安価で手っ取り早く酔える濃いお酒を欲したり、朝からお酒を飲まずにはいられないなど、生活の中心に常にお酒がある状態になり、自分でも酒量や飲み方をコントロールできなくなっていくことがあります。ふだんの飲みすぎ度CHECKページにあるチェックリストが2つ以上当てはまる場合は特に、家族や自分たちだけで問題を解決しようとせず、外部のサポートを求めてください。


都道府県等の自治体に設置された公的機関で、アルコール問題の相談窓口が開設されています。困ったら、まずはお住まいの最寄りのセンターへ相談を。
※「こころの健康センター」などの名称である場合もあります。

都道府県等や市町村に設置された公的機関。アルコール問題についての個別相談や、家族のための勉強会等を行っています。

依存症に関する情報や、全国の相談窓口などの検索ができます。
●依存症対策全国センター

アルコール依存症の専門的な治療を行っている病院や、お酒による害を減らすための支援を行う減酒外来・アルコール低減外来などがあります。
※精神保健福祉センターへの問い合わせやインターネット検索で探すことができます。

アルコール問題を抱える人やその家族、友人等のための自助グループが全国各地で活動しています。
●全日本断酒連盟
●AA日本 ゼネラルサービス
●アラノン家族グループ

アルコール依存症は、自身では飲酒の調節が難しくなる「脳の病気」です。お酒をやめられないのは本人の意志の弱さや性格とは関係がなく、他の病気と同様に医療や支援が必要な状態です。困ったときには躊躇せず、ぜひSOSを!

【監修】吉本 尚 先生
(筑波大学医学医療系地域総合診療医学准教授)
従来精神科で行われてきたアルコール依存症の治療を総合診療医の視点から行う、アルコール関連障害診療のエキスパート。大学病院内などに「アルコール低減外来」を開設している。

ヘルス・グラフィックマガジンvol.42
「飲みすぎ」より転載(2021年12月15日発行)