なぜ肌は乾くのか?部位ごとの皮膚乾燥 基礎知識
皮膚の一番外側、「角層」と呼ばれるわずか0.02mmの肌の層の水分量が低下した状態。角層には「バリア機能」と「保湿機能」の2つの大切な機能があり、どちらが損なわれても乾燥や荒れなど肌の不調につながります。
●角層を構成しているのは角層細胞と細胞間脂質。角層細胞の中には水分のほか、天然保湿因子(NMF)と呼ばれる成分が含まれています。
●NMFはもともと皮膚に存在するアミノ酸や尿素、汗の成分などの総称で、保湿機能の要となる成分ですが、水溶性のため洗浄などに伴って失われやすいという特徴も。NMFの減少は乾燥肌の大きな要因です。
●角層細胞の周りを埋めるのは、セラミド・コレステロール・脂肪酸から構成される細胞間脂質。バリア機能の主体です。
●皮脂腺から分泌される皮脂も、皮膚の表面を覆って水分の蒸発を防ぐ役割をしています。
●潤いある皮膚を保つには、角層を構成する成分が過不足なく作られ、一定の周期で入れ替わること(ターンオーバー)が大切ですが、実際には様々な要因で乱れがちです。
●これを整えるのが毎日のスキンケア。顔であれば基礎化粧品、体であれば保湿クリームなどを使って水分や保湿成分を外から適切に補給することで、角層の状態を整えることが大切です。
●角層の厚みや皮脂の分泌量は部位によって異なるため(下図)、各々に合った保湿を考えてみましょう。
<乾燥肌の要因となるもの>
●内的要因:加齢、皮膚の炎症、ホルモンの変化、不規則な生活など
●外的要因:空気の乾燥や寒さ、紫外線、洗いすぎ、喫煙など
注)肌の乾燥のしやすさや感じ方は個人差や年齢差が大きく、ここで示した程度と実感が一致しないこともあります。目安としてご覧ください。
【監修】平尾哲二 先生
(千葉科学大学薬学部生命薬科学科 化粧品科学研究室 教授)
皮膚科学・化粧品科学のエキスパート。著書に『医師・医療スタッフのための化粧品ハンドブック』など。
ヘルス・グラフィックマガジンvol.28
「乾燥肌」より転載(2018年1月15日発行)