ポリファーマシーって、知ってる?
年齢とともに不調が増え、徐々に必要なお薬が多くなる高齢期には、時に飲み残しが増えてお薬の効果が十分に得にくかったり、お薬同士の相互作用で副作用が出やすくなったり、反対に効きすぎたりといった問題が生じやすくなることがあります。このように、服用するお薬が多いためになんらかの問題が起こっている状態を「ポリファーマシー」といいます。
●処方されたものの、飲めていない薬がある(飲みにくい、飲み忘れる、飲みたくない、多すぎて管理しきれない、など)
●新しく薬が増えたり増量になったあとに体調に変化が現れた(食欲低下、眠れない、便秘、ふらつき、など)
●複数の医療機関から、効果・効能の似た薬や同じ薬が出ている
複数のお薬を飲んでいること自体は悪いことではなく、それぞれのお薬の効果がしっかり得られていれば体調が安定し、フレイル予防にも◎。一方で、ポリファーマシーでは、体調や病気のコントロールが不十分になったり、お薬の副作用のためにフレイルが助長されてしまうことがあるのです。
お薬の困りごとは薬の専門家である薬剤師にぜひ相談を。薬剤師の一番の任務は、患者さんやご家族が安心・安全にお薬を服用できるようサポートすること。患者さんにポリファーマシーが生じていないかも、実はいつも気にかけています。忙しそうにしていても、ぜひ遠慮なく声をかけてくださいね。
薬剤師は、過去・現在の処方薬を確認し、処方医とも連携して、さまざまな方法でお薬を有効・安全に飲めるよう提案を行います。 たとえば…
●お薬を飲みやすくする工夫(貼り薬や口内で溶ける薬への変更、服用回数が少なくて済む薬への変更、など)
●効果・効能が重なる薬の確認
●残薬(飲み忘れ・飲み残しの薬)の整理 など
いつも利用する「かかりつけ薬局」や、自分のことをよくわかってくれている「かかりつけ薬剤師」をもつことは、ポリファーマシーを防ぐ有効な手段。「おくすり手帳」も1冊にまとめて、持参をお忘れなく!
【監修】菱田 利恵 さん
アイセイハート薬局東雲店 薬剤師
「お薬は安心・安全に使って、フレイル予防にも役立てたいですね。ご自宅に残っているお薬があれば、遠慮なく薬局にご持参ください。ご自身の生活スタイルに合ったお薬の使い方をご一緒に考えましょう!」
ヘルス・グラフィックマガジンvol.55
「フレイル」より転載(2025年3月17日発行)