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寝具の寿命はどのくらい?長持ちする方法と買い替えのポイント

睡眠の質に大きな影響をもたらす「寝具」。マットレスや枕などを定期的に買い替える人もいれば、長年同じ寝具を使い続けている人もいるでしょう。

毎日使う寝具は、その使い心地に慣れてしまうと、いつ寝具を買い替えればよいのか判断しにくいもの。また、少しでも長く寝具を愛用していくためには、どんなことを心がけたら良いのでしょうか? 今回は、気になる寝具の寿命とケアについて、睡眠の専門家である三橋美穂さんにアドバイスをいただきます。

教えてくれるのは…
三橋 美穂さん
快眠セラピスト・睡眠環境プランナー

寝具メーカーの研究開発部長を経て、2003年に独立。これまでに1万人以上の眠りの悩みを解決し、枕に関しては頭を触っただけで、その人にどんな枕が合うかわかるほど寝具について深い知識を持っている。全国での講演や執筆活動のほか、寝具や快眠グッズのプロデュース、ホテルの客室コーディネートなども手がける。著書に『『オトナ女子の不調と疲れに効く 眠りにいいこと100』(かんき出版)ほか多数。
 
[監修者] 三橋美穂さん:https://www.sleepeace.com/profile
スリーピース・カフェ:https://www.sleepeace.com/

寝具に寿命はある?

毎日の睡眠に欠かせない寝具ですが、どれくらいで寿命を迎えるかご存知でしょうか。

寝具は、賞味期限のように明確な寿命はありません。使う頻度や寝相によって、寝具の寿命は前後します。代表的な寝具と、その寿命の目安を確認しましょう。

身体を支える寝具

  • マットレス:7〜10年
  • 敷布団:3〜5年
  • 枕:1〜5年

※枕は素材によって寿命の目安が変化します。そば殻などは1〜2年、低反発ウレタンは2〜3年、パイプは4〜5年。

身体にかける寝具

  • 羽毛かけ布団:10〜20年(5年に一度くらいクリーニングするとボリュームが回復します)
  • 羊毛かけ布団:5〜10年

寝具の寿命を見極めるポイント

以下の項目に当てはまる場合は、寿命が近づいているかもしれません。
□ 寝具のへたりや傷みが気になる
□ いやなニオイがしている
□ 購入時と比べて、寝心地が悪くなった

寝具の見た目やニオイで判断することも大切ですが、「なんとなく寝心地が悪い」「起きたときに寒い・熱い」「起きた時に身体が痛い」なども寿命のサイン。気になる方は、寝具を見直してみましょう。

寿命を過ぎた寝具を使い続けるとどうなる?

寝心地が悪いまま寝具を使い続けていると、身体にも悪影響が出てきます。

たとえば、劣化によって高さが合わなくなった枕を使い続けていると、肩こりや首の痛みだけでなく、噛み締め(歯ぎしり)やいびきといった、自分では気づきにくい症状が出やすくなります。また、へたったマットレスを使い続けると腰痛の原因にも。寝具の使用年数を振り返りながら、見直してみましょう。

すぐに買い替えられないマットレスの応急処置

マットレスのような大きな寝具は気軽に購入できないため、「また今度」と買い替えのタイミングを逃しがちに。腰痛や寝心地の悪さから「そろそろマットレスを買い替えた方がいいかな?」と感じたら、応急処置としてお尻の部分(あるいはへたっている部分)の凹みを埋めるようにタオルを重ねて敷き、段差をなくすのがおすすめです。

凹んだマットレスの応急処置

マットレスのお尻のあたりは、最も体重がかかり、最初にへたってくる部分といえます。へたりの少ない端の部分とお尻のあたりを手で押し比べてみて、段差や弾力の違いを感じたら、タオルで補正してください。

寝具を長持ちさせるケア方法

ここからは、お気に入りの寝具を、より長く快適に使い続けるヒントを紹介します。

枕カバーやシーツを使って汚れを防ぐ

汚れた枕やマットレスを使い続けると、ダニやハウスダストの温床となり、アレルギーや感染症、いやなニオイの原因にもなりかねません。それらを防ぐために、枕カバーやシーツを装着して汗や汚れから守ることが大切です。毎日使うものなので、枕カバーやシーツなどの洗えるものはこまめに洗い、清潔に保ちながら快適な睡眠を心がけましょう。

枕カバー、シーツ、布団カバーの洗濯頻度は?

枕カバー:毎日の洗濯がおすすめ
頬が直接触れるので、寝る前にパックや美容液でケアをしても、枕カバーが汚れていてはもったいないことに……。また、頭皮のフケや皮脂もつきやすいので、毎日洗濯できるとベスト、難しければ週に2回は洗濯をしましょう。

シーツ、布団カバー:週に1回の洗濯がおすすめ
睡眠中には、およそコップ1杯分の汗をかくといわれています。また、春から夏にかけて部屋の温度が高まると、布団周辺はムシムシとしてダニが繁殖しやすい環境に。清潔さを保つためにも、夏場は週1回、冬場は2週間に1回は洗濯するようにしましょう。

シーツやカバーの洗濯は面倒に感じる人も多いですが、洗いたての香りに包まれて眠るのは、とても心地が良いもの。素材はお好みのものを選んでください。

長くマットレスを使いたいなら、上にマットレストッパーを敷く

マットレスは10年前後使える寝具ですが、少しでも寿命を伸ばしたいのなら、「マットレストッパー」と組み合わせて使うのがおすすめです。

マットレストッパーとは、「マットレスパッド」とも呼ばれるアイテムで、マットレスの上にもう一枚敷いて寝心地をよくする厚さ3~5cm程度の薄い寝具のこと。高反発から低反発まで素材の種類も豊富にあるため、好みの寝心地に合わせて選ぶことができます。

長くマットレスを使いたいなら、上にマットレストッパーを敷くのがおすすめ

一般的なマットレスには、柔らかさを出すためにコイルの上にクッション材が入っていることが多いのですが、このクッション材がへたりの原因となり、マットレスの寿命を短くしてしまうことも。

長くマットレスを使いたいのであれば、なるべくクッション材が薄いもの(詰め物の少ないもの)を選びましょう。その上にマットレストッパーを組み合わせることで自分好みの寝心地をキープしながら、定期的にマットレストッパーを交換することで、マットレス本体の寿命を伸ばすこともできます。

寝具の見直し!買い替える際の選び方

ここからは、「寝具の選び方」をご紹介します。新しい寝具への買い替えを考えている方に確認してほしいポイントをまとめました。寝具を見直す際の参考にしてください。

重視すべきは、「マットレス」と「枕」の相性

寝具は、「マットレスだけ」「枕だけ」と別々に購入する人が多いのですが、大切なのはマットレスと枕との相性。一緒に使って心地良いと感じる寝具を選ぶのがポイントです。

心地良い「マットレス」と「枕」を選ぶ際には、立っている姿勢をキープできるかどうかを確認しましょう。

正しい寝姿勢は、立っている姿勢をキープできるかどうかで判断

マットレスを選ぶ際には、ご自身の体型や体重に合ったものを選ぶことも重要です。お好みの硬さを知るのも大切ですが、無理のない寝姿勢を保つことを考えると、体重が重く沈みやすい人は硬めを、体重が軽く沈みにくい人は柔らかめを選んでみてください。

枕でポイントとなるのは「高さ」です。寝ている状態を横から写真に撮ってみて、立っているときと変わらない姿勢であれば、自分にあった枕といえるでしょう。

小学生以上は、大人用の寝具でOK

お子さんの寝具の選び方は、大人と同じと考えて問題ありません。小学生以上なら大人用の寝具に切り替えてもOK。ただし枕だけは、成長に合わせて高さのあったものを使用するようにしてください。

夜尿症(おねしょ)がある場合は、シーツと一緒に防水マットを使うのがおすすめです。薄手の防水マットもあるので、毎日の使いやすさ、清潔な寝具環境を重視して選びましょう。

高齢者は、寝返りのしやすさで選ぶ

高齢になると、体力の問題から寝返りをする頻度が少なくなるといわれています。寝返りは、身体にかかる負担を軽減する役割や、寝具の空気を入れ替えて蒸れるのを防ぐメリットがあります。身体の健康を保てるよう、なるべく寝返りのしやすい寝具を選ぶようにしましょう。マットレスが柔らかすぎると寝返りをしにくくなるため、適度な硬さのあるものがおすすめです。

高齢の親御さんのためを思って、寝具の買い替えを考えている人もいると思いますが、本人が不便さを感じていないようであれば、無理に買い替えなくても大丈夫。よく眠れていないように見えても、年齢とともに活動量が減り、睡眠時間が短くなっているだけかもしれません。まずは親御さんが普段どのように生活しているのか、その生活にあった寝具かどうかを確認してみてください。

世代を問わず、意外と大事なパジャマ

部屋着のまま寝ている人もいるかもしれませんが、じつは睡眠において、パジャマも大事な要素のひとつ。季節にあったパジャマを選んでみましょう。

春〜夏の気温が高い時期は、薄手で首元や袖口が広く、放熱しやすいデザインがおすすめ。秋〜冬の気温が低い時期は、厚手で首元や袖口がすぼまっているデザインがおすすめです。素材は自分の好みのものを選んでください。

寝具の見直しで「質の高い睡眠」を

ついつい買い替えるタイミングを逃しがちな寝具ですが、寝心地が悪いまま使い続けてしまうと「睡眠の質」にも影響を及ぼします。シーツやカバーなどは日頃から清潔な状態を保ち、マットレス・敷布団・枕などの身体を支える寝具は適切な寿命を把握しつつ、長く使い続ける工夫をしていくことが大切です。毎日の睡眠を共にしている寝具を見直し、元気な毎日を過ごしましょう。

CREDIT
取材・文:HELiCO編集部+ノオト イラスト:せとうちあんこ
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