ぐっすり眠って翌朝すっきり起きるためには、夕食を食べる時間が遅くなりすぎないほうがいい。それが理想だと頭ではわかっていても、忙しくて食事の準備ができず、気づいたら「えっ、もうこんな時間!?」なんてこと、ありますよね。
夜遅くに胃に負担のかかる食事をして、消化しきれないまま寝てしまうと、体が十分に休まらず、なかなか疲れがとれないこともあります。
そんなときにおすすめなのが、消化がよく、眠りの妨げにならない夜食のレシピ。遅い時間になってしまっても安心して食べられるように、食材の選び方や調理のコツなど、夜食をつくる際に役立つポイントを、管理栄養士の中村りえさんに教わりました。
- 教えてくれるのは…
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- 中村 りえさん
- 管理栄養士・米粉料理家
健康、美容、栄養などの切り口でレシピ開発やコラム執筆、栄養監修を行う。さらに米粉のレシピサイト『米粉おやつLabo』を運営し、数多くのレシピを発信している。『まいにち食べたい 体にやさしいお菓子』『米粉のおやつとおかず』(宝島社)の著書があるほか、漫画『疲れた人に夜食を届ける出前店』(中山有香里 著 KADOKAWA)のレシピ制作を行う。
中村りえさんHP:https://komeko-oyatsulabo.com/profile/
Instagram:https://www.instagram.com/rie.nakamura0707/profile/
夜遅めのごはんは、体にも心にもやさしいことが一番
夕飯を食べる時間が遅くなってしまうことは、忙しい毎日のなかではよくあること。でも、そんなときに何を食べるかで、翌朝の目覚めが変わってきます。
中村さんによると、夜21時以降などの遅い時間に食事を摂る場合、まずは食べてから寝るまでの時間が短いことを考えて、体にやさしい食事を選ぶことが大切だそう。食材選びの具体的なポイントは、下記の2つ。
・消化のよさを優先して食材を選ぶ
・寝ている間に体の回復を助けてくれるタンパク質を摂る
「ゆでる」「煮る」「電子レンジを使う」など、油を使わない調理方法なら、消化にもよく、カロリーも抑えられます。そのうえで、できるだけ簡単につくれたらうれしいもの。

「夜遅いと食事の支度もおっくうになりがちですが、今回のメニューは包丁なしでもつくれて、洗い物も少ないですよ」と中村さん。

カット野菜や冷凍食品を使うと、調理や片づけの時間を短くできて、気持ちにも余裕が生まれる
さらに、温かい汁物や柔らかい食感のメニューを食べることで、一日の終わりにホッとリラックスできて、心地よく眠れるでしょう。今回ご紹介する3つのメニューは、どれもすぐにつくれるものばかり。ぜひ、夜食づくりの参考にしてみてください。
牛乳ベースのスープが決め手「ちゃんぽん風うどん」

食材のポイント
冷凍シーフードミックス:えびやいかなどは、脂質が少なく、消化がよいタンパク質
冷凍うどん:胃腸に負担をかけないため消化がよく、冷凍庫に常備しておくとパッと使えて便利
牛乳:必須アミノ酸の一種で、睡眠を促すホルモン「メラトニン」の材料になる「トリプトファン」を含む

材料(2人分)
- カット野菜…1袋 (200g) ※お好みのものでOK
- 冷凍シーフードミックス…150g
- 冷凍うどん…2玉
- 牛乳…200ml
- ごま油…大さじ1/2
- 塩…少々
- 粗びき黒こしょう…少々
(A)
- 水…500ml
- 鶏がらスープの素/酒/オイスターソース…各大さじ1
- 塩…ひとつまみ
つくり方
1.鍋にごま油を入れて中火で熱し、カット野菜を加えてしんなりするまで炒める。

野菜を炒めてから煮ることで、コクのあるちゃんぽんに
2.シーフードミックス、<A>を加えて煮る。

シーフードミックスを凍ったまま鍋に加えれば、うまみが出るうえに手間いらず
3.煮立ったらうどんと牛乳を加え、煮立つ直前に火を止め、塩で味を調える。器に盛り、粗びき黒こしょうをふる。

牛乳は加熱しすぎると吹きこぼれや分離の原因になるので、煮立たせないように気をつけて

電子レンジでふわふわ「鶏ひき肉とはんぺんのキャベツシューマイ」

食材のポイント
キャベツ:消化を促進する働きがある。このレシピではシューマイの皮の代わりに利用
鶏ひき肉:豚や牛のひき肉に比べて脂質が少ないので、消化がよく、胃もたれしにくい
はんぺん:消化のよいタンパク質。ふわふわの食感を生かしてつなぎに使えば、たねが硬くならない
しょうが:体を温める作用があり、眠りをサポートする効果が期待できる

材料(2人分)
- 千切りキャベツ…2枚分(100g)※市販のものを使用すると包丁なしでつくれる
- はんぺん…1枚(90g)
- 鶏ひき肉…200g
(A)
- しょうゆ/オイスターソース…各大さじ1/2
- しょうが(すりおろし)/ごま油/鶏がらスープの素…各小さじ1
つくり方
1.千切りキャベツを耐熱ボウルに入れてラップをふんわりとかけ、電子レンジ(600W)で2分ほど加熱する。粗熱がとれたら水けをしっかり絞る。

シューマイがべチャッと水っぽくならないように、キャベツは水けをギューッと絞って
2.はんぺんは袋のままもみ、少しかたまりが残るくらいまで崩す。

たねに加える前にはんぺんを崩しておくと、鶏ひき肉になじみやすくなる
3.ポリ袋にはんぺん、鶏ひき肉、<A>を入れ、もみ混ぜてたねをつくる。手にサラダ油を薄く塗り、10等分にして丸める。

ポリ袋のなかにたねの材料を入れて混ぜれば、ボウルを使わずにすむ

4.耐熱皿の底にキャベツ1/2量を敷き、たねを並べる。さらに、たねの上に残りのキャベツを乗せ、軽く押さえる。


キャベツでたねをサンドするようにすれば、ひとつずつ包むより簡単!
5.ラップをふんわりとかけ、電子レンジ(600w)で4分ほど加熱して器に盛る。

蒸し器ではなく、電子レンジで加熱するので手間がかからない

ゴロッと具沢山「豆腐と大豆もやしの酸辣湯(サンラータン)」

食材のポイント
絹ごし豆腐:消化のよいタンパク質で、ふるふると柔らかな食感がホッとさせてくれる
大豆もやし:睡眠の質改善が期待できるアミノ酸の一種GABA(ギャバ)が豊富

材料(2人分)
- 卵…1個
- 絹ごし豆腐…1/2丁(150g)
- 大豆もやし…100g
- 小ねぎ(小口切り)…適量
- ラー油(またはごま油)…適量
(A)
- 水…300ml
- しょうゆ/みりん/酒…各大さじ1
- 鶏がらスープの素/酢…各大さじ1/2
(B)
- 水溶き片栗粉…片栗粉大さじ1:水大さじ1
つくり方
1.ボウルに卵を割りほぐす。鍋に<A>を入れて中火にかけ、煮立ったら大豆もやしを加え、豆腐をスプーンで食べやすい大きさにすくって加える。

豆腐はスプーンですくって加えると、洗い物が少なくてすむ
2.再び煮立ったら3分ほど加熱し、強火にして①の溶き卵を回し入れる。

溶き卵を加えるときは、すぐにまんべんなく卵に火が通るように強火で
3.一度火を止め、よく混ぜ合わせた<B>を加えて混ぜる。再び中火にかけ、とろみがつくまで加熱する。

一度火を止めてから<B>の水溶き片栗粉を加えると、ダマになりにくい
4.器に盛って小ねぎを散らし、ラー油(またはごま油)をかける。

体に負担がかからない簡単メニューを、夜食の定番に!
夜遅くて疲れていると揚げ物や甘いものが食べたくなりますが、中村さんによると、ぐっすり眠って体力を回復するためには、やはり控えたほうがいいそうです。
今回の3品は、家にある身近な材料や仕事帰りにコンビニでさっと買ってつくることができます。夜食にぜひ取り入れてみてください。