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飲めばいいってものじゃない?水分補給の基礎知識

私たちが生きるうえで欠かせない「水分」ですが、みなさんは正しく摂れていますか? 「そもそも間違った水分の摂り方なんてあるの?」と思った方、もしかしたら危険かも! なかには、小さい頃からの習慣や生活スタイルから、水分を「独自のルール」で摂取している方も多いはず。もしそれが間違っていたら、「かくれ脱水」を起こしたり、必要な摂取量が足りていなかったりする事態に! この機会に、毎日飲む「水分」について見直してみませんか?

INDEX
そもそもどうしてノドが渇くの?
水分摂取の基本を知ろう
「かくれ脱水」に要注意!
よくある水分のギモンを解決

そもそもどうしてノドが渇くの?

「ノドが渇いた」という感覚は、脳の視床下部と呼ばれる場所にある「口渇中枢(こうかつちゅうすう)」が刺激されることによって生じます。人間の体は、つねに自分の体内の水分量(血液の量や濃度など)を測っています。そして、水分量が足りなくなることを察知すると、「水分を摂らなきゃ!」と思わせるために口渇中枢を刺激するのです。

水分摂取の基本を知ろう

私たちの体では、1日で約2~2.5L程度の水分の入れ替わりが起きています。当然、水分が出ていってしまうばかりでは問題があるため、季節や時間を問わず、つねに水分補給は必要です。では、どのように水分摂取をするのがよいのか、その基本について確認していきましょう。

まずは食事からの水分摂取を大切に

「水分摂取といえば、飲み物から」「脱水にならないように、たくさん水を飲まなくちゃ!」と思う方も多いかもしれません。もちろん、飲み物から摂取する水分も非常に重要ですが、じつは私たちは、1日に必要な水分の約40%を食事から摂取しているのです。そのため、基本的には「きちんと食事を摂り、そこから水分摂取をする」、そして「食事だけでは補いきれなかった水分は、飲み物から摂取する」と考えるのがよいでしょう。もし、「食欲がなくて1食抜いてしまった」などという場合には、いつも以上に飲み物からの水分摂取を心がける必要があります。

1日に必要な水分量の目安は「体重×40mL」

1日に必要となる水分の量は、体の大きさ(体重)や活動量によっても異なりますが、大まかな目安としては「体重×40mL」あるいは「成人男性で3L、成人女性で2.5L」といわれています。ただし、この量には食事に含まれる水分も入っており、実際に飲む量ではありませんのでご注意を! 実際に飲む量は、この量の約半分と考えてください。

「まとめて」より「こまめに」摂取!

1回の水分補給で1L飲めば、水分補給は1日3回でよいのかというと、決してそうではありません。私たちの体には、体内の水分量が減ったことを察知するセンサー(口渇中枢)があるのと同様に、急激に体内の水分が増えたときにそれを察知するセンサーも備わっています。そのため、体内の水分量が急増すると「水分を外に出せ」という指令が出て、尿として排泄されてしまうのです。それを防ぐには、体に気づかれないように少量の水分をこまめに、ゆっくりと摂取し、体にしっかりと吸収させましょう。

「かくれ脱水」に要注意!

体に必要な水分が足りなくなってしまう「脱水」は、夏場に汗をたくさんかくことによって起こるイメージがあると思います。しかし、気づかないうちに脱水状態になってしまう「かくれ脱水」もあるんです。

秋の「かくれ脱水」

秋バテ、あるいは夏バテを引きずることによって食欲不振になり、食事から十分な水分摂取ができないことに加え、暑さが和らいでくると積極的に水分を摂ろうという意識も低下してきます。その結果、秋は「かくれ脱水」が起こりやすいといえます。

起床時はつねに脱水状態?

できるだけこまめに水分を摂ることが望ましいとはいえ、眠っているときは難しいので、基本的に起床時には脱水状態になっているといえます。そのため、朝起きたときは誰もが水分を摂取したほうがよいタイミング。朝の水分補給を生活に取り入れて、かくれ脱水を防ぎましょう。

高齢者やアルコール摂取時も気をつけて!

ノドの渇きを察知するセンサーである口渇中枢は、加齢やアルコールの摂取によって反応が鈍ってしまうことがあります。そのため、あまりノドの渇きを感じないまま水分量が失われていってしまうことがあるので、注意が必要です。

マスクによる「かくれ脱水」も

最近では、日常生活の多くの場面でマスク着用が必要となっています。マスクによって口のなかの湿潤(湿気)が保たれていることで、脳からは「水分を摂って!」という指令が出ているにもかかわらず、体はあまり渇きを感じません。その状態でいると、なかなか水分を摂ることなく、気づかないうちに脱水になっていることがあります。

これって脱水症状のサイン? 見逃さないために…

脱水が起こると、全身の倦怠感(だるさ)や集中力の低下が見られます。また、眠気が出てきたり、体の痛みを感じたりすることも。こうしたサインが頻繁に現れる場合には、食事の内容や水分摂取のタイミングを見直してみる必要があるでしょう。

よくある水分のギモンを解決

ここからは、普段の生活のなかでついやってしまうことや、「水分」と聞いてみなさんが疑問に思うことについてお答えしていきたいと思います。

<シチュエーション別>に見る、よくある水分のギモンを解決

ギモン1:水分補給はジュース(甘い飲み物)でもいいの?

ジュースでも水分補給自体はできていますが、ジュースを飲むことによる、ほかの問題も出てきます。たとえば、糖分が多く含まれたものを飲むことで、体は満腹を感じます。すると、食事をすべきタイミングでしっかりと食事を摂れず、結果的に食事から得られるはずだった水分が摂取できなくなる可能性があります。ジュースなどは、食事の邪魔にならない量や時間帯に飲むようにしましょう。

ギモン2:昔は運動中やあとに「水を飲むな」って言われたけど…

現在では、適切な水分補給が「運動のパフォーマンスを上げる」あるいは「ケガを予防するために必要である」ことがわかっており、運動前後や運動中の水分摂取が重要視されています。運動時や子どもが遊んでいるときなどの水分補給は、「10分おきに一口程度、激しい運動ではコップ1杯程度」のペースと量を目安にするとよいでしょう。運動後に体重が減っているのは水分が体内から失われている証です。運動前後で体重の変化を2%以内に収めるよう心がけましょう。

ギモン3:冷房の効いた室内では温かい飲み物じゃないとダメ?

飲み物の温度は、その目的によって変えるのがよいでしょう。飲み物を飲む目的には「水分補給」と「体温の調節(体を冷やす・温める)」のふたつがありますが、水分補給をするうえでは「量」が重要なため、自分が飲みやすい(飲みたい)と思う温度の飲み物を飲んでください。一方、体温の調節という目的の場合は、体を冷やしたい(暑い)ときには冷たい飲み物を、体を温めたい(冷房で体が冷えてしまった)ときには暖かい飲み物を選びましょう。

ギモン4:お酒と同量の水を一緒に飲むといいってホント?

水分補給という観点からいえば、お酒には利尿作用があるため、お酒だけを飲んでいる場合、あるいは、おつまみの種類(水分の少ないもの)によっては、お酒と同量以上の水分を摂取することが望ましいでしょう。しかし、食事を十分に摂りながらの飲酒であれば、必要な水分は食事から摂取できるため、特に別途水分を摂取する必要性は低いといえます。

<世代別>に見る、よくある水分のギモンを解決

ギモン1:子どもが冷たいものをガブ飲みするのは危険?

幼児や小学生の場合、コップ1杯程度であれば冷たいものを飲んでも、大きな影響はありません。しかし、冷たいものを多く飲みすぎてお腹を壊してしまうと、お腹に負担がかかり結果的に食事が摂れなくなったり、下痢によって多くの水分が失われたりするため、その点では注意が必要です。やはり、ガブ飲みするほどノドが渇く前に、こまめな水分補給をすることが理想といえます。

ギモン2:おじいちゃんおばあちゃんが、お茶ばかり飲むのだけど…

緑茶などのお茶には、カフェインが多く入っていることが知られています。カフェインには利尿作用があるため、「お茶は水分摂取をしたことにならないのでは?」と考える方もいるかもしれません。しかし、カフェインは長期間摂取していると耐性がつくため、昔から緑茶をよく飲んでいる場合、カフェインによる利尿作用はあまり気にする必要はありません。ただし、日頃カフェインをあまり摂っていない方は、利尿作用が強く出てしまう場合もあるので気をつけましょう。

ギモン3:大人が水分を摂るときに気をつけることは?

年齢を重ねるごとに、ノドの渇きを感じるセンサーが鈍っていくだけでなく、食事の量も減ってしまうことが多くあります。加えて、筋肉には水分を貯めておく働きがあるため、加齢によって筋肉量が減少するとそれだけ体に保持しておける水分量も減ってしまいます。そのため、年を取るにつれ、より飲み物からこまめに水分を摂取することが大切になります。


知っているようで意外と知らない「正しい水分の摂り方」。これを機に、ご自身やご家族の水分摂取について、見直してみてはいかがでしょうか?

教えてくれたのは・・・
谷口 英喜先生
済生会横浜市東部病院 患者支援センター長兼栄養部長

福島県立医科大学医学部卒業。麻酔・集中治療、術後回復促進、栄養管理のほか、経口補水療法、熱中症対策、脱水症・かくれ脱水などを専門とする。主な著書に『はじめてとりくむ水電解質の管理』(医歯薬出版)ほか多数。

CREDIT
取材・文:HELiCO編集部 イラスト:堀川直子

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