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夏バテじゃなくて秋バテ?季節の変わり目の体調不良にご用心!

暑い暑い夏を乗り越え、ようやく過ごしやすい気候になってきた……はずなのに、「なんだか疲れが取れない」「体がだるい」ということはありませんか?  もしかするとその症状、「秋バテ」かもしれません。

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最近、こんな症状はありませんか?

・体がだるい
・疲れが抜けない
・眠れない、寝つきが悪い
・食欲がない、胃がもたれる
・頭痛やめまいがする
・肩こりがある
・気分が沈みがち

じつは、これらの症状は「秋バテ」の要注意サイン。「夏バテじゃなくて秋バテ?」と、疑問に思う方も多いかもしれません。このあまり耳慣れない「秋バテ」とは、いったいどのようなものなのでしょうか。

そもそも「秋バテ」って? 原因は自律神経にあった

よく耳にする「夏バテ」は、その名のとおり7、8月頃のもっとも暑い時期に起こる症状ですが、「秋バテ」も少し気温が下がりはじめる初秋のころ、9月以降に現れます。過ごしやすい気候になってきたのに、体のだるさを感じたり、なかなか疲れが抜けなかったり、食欲がなくなったり……と、その症状は多様です。そして、これらのさまざまな症状を引き起こす秋バテの大きな原因は、「自律神経の乱れ」にあります。

それでは、なぜ夏の終わりから初秋にかけて自律神経が乱れやすくなるのか、具体的に解説していきましょう。

原因その1:夏のあいだに疲労が蓄積される

自律神経には、アクティブモードである「交感神経」とリラックスモードである「副交感神経」があります。交感神経が血圧を上げたり脈を速くしたりするのに対して、副交感神経は血圧を下げたり脈を遅くしたりする役割があり、これらふたつの神経は24時間365日、つねに環境の変化に合わせて適切なモードに切り替え、体中の器官を制御しています。

そのため、気温が高くなると交感神経の働きで、汗をかき体温を下げようとしますが、近年は特に夏の暑さが厳しいため、交感神経が一生懸命に働きつづけることに……。その結果、自律神経にも徐々に疲労が蓄積されていき、自律神経のバランスが崩れやすくなってしまうのです。

さらに夏は冷たいものを食べたり飲んだりする機会が増えます。多少であれば問題はないものの、冷たいものを摂りすぎることで胃腸が冷えると、自律神経も乱れやすくなるといわれています。

また、最近は新型コロナウイルス感染症の流行により、暑い時期でもマスクを着用しなくてはいけない場面が多くあります。本来人間は呼吸によっても熱を体外に放出していますが、マスクによってそれが妨げられることで体内に熱がこもり、自律神経にかかる負担はさらに大きくなっています。

原因その2:室内外や朝晩の温度差が激しい

夏は空調の効いた室内と室外では、大きく温度が異なります。室内外を行き来するたびに、自律神経はその温度差に適応して体中の器官をコントロールしようとするため、その負担は相当なもの。加えて、秋は朝晩の気温差も大きく、同様に自律神経が疲弊しがちで、最終的には自律神経が乱れやすい状態を招く原因となってしまいます。

原因その3:気圧の変動が大きい

秋は台風などの影響もあり、気圧が変動しやすい季節。じつは、この気圧の変動も自律神経の働きに大きな影響を及ぼしています。気圧の変動を感知するのは、耳の中にある「内耳(ないじ)」と呼ばれる器官。内耳は気圧の低下を感知するとそれを脳から自律神経へと伝えます。台風などによって、頻繁に激しい気圧の変化(低下)が起こるとそのたびに自律神経が反応し、バランスを崩してしまいやすくなっていきます。

自律神経に「寄り添った」秋バテ対策を

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体のなかでは、周りの環境に順応するために、私たちの気づかないところでさまざまな器官が一生懸命に働いています。しかし、こうした外部環境の変化は小さなストレスとして蓄積されていきます。人間は、交感神経と副交感神経の両方をうまく切り替えながら、ある程度のストレスには基本的に耐えることができます。しかし、ストレスが積もり積もっていくと自律神経にも疲れが出てきてしまい、その乱れてしまった状態から自力で整えることは、なかなかできなくなります。

つねに私たちのために働きつづける自律神経をきちんと休ませてあげるためには、十分な睡眠を取り、お風呂で体を温めてリラックスし、きちんと食事をとることが大切。そのほか、日光を浴びる、規則正しい生活を送る、適度な運動をする、なども効果的です。自律神経を労り、元気に秋を過ごせるようにしましょう。

本記事でご紹介したほかにも、季節を問わず自律神経が乱れやすくなる要因があります。自分は自律神経が乱れやすいタイプかどうか気になる方は、以下の記事もチェックしてください。

「完璧主義」は自律神経が乱れがち?生活習慣や性格でセルフチェック
私たちの体の機能を制御してくれる「自律神経」は、24時間フル稼働の働き者。しっかりと労ってあげないと、バランス良く体をコントロールすることができなくなってしまいます。また自律神経は、環境、生活習慣、性格などの影響を大きく受けることも。自分は自律神経が乱れやすいタイプなのかどうか、セルフチェックしてみませんか?
https://helico.life/monthly/210910akibate-selfcheck/

秋バテを放っておくと…

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秋バテの症状の一つひとつは、「体の疲れ」や「だるさ」、「気分の落ち込み」「食欲不振」と、一見、大したことはないと思うかもしれません。しかし、これらの症状が自律神経の乱れからきている場合、放っておくとさらにさまざまな不調へとつながっていく可能性があるのです。

秋バテからうつ病に?

秋バテでは、気分がひどく落ち込む方もいます。自律神経の乱れから生じる症状は、乱れがひどくなればなるほど悪化する傾向にあり、うつ傾向やうつ病に発展してしまうケースも。気分が落ち込むことが増えたなと感じた場合には、しっかりと自律神経を整えられるよう、自身の生活を見直してみるとよいかもしれません。

秋バテで感染症にかかりやすくなる?

じつは、体を外敵(細菌やウイルスなど)から守る免疫機能と自律神経は密接な関係にあります。特に、交感神経が刺激されることでNK細胞と呼ばれる免疫細胞の活性が低下することもわかっており、こうした状態が長く続くことで免疫力が低下するといわれています。つまり、秋バテの状態が続くと外敵から体を守る機能が弱り、風邪をはじめとする感染症にかかりやすくなってしまうのです。

「たかが秋バテ」と侮らず、不調を感じたときにはしっかりと自分の生活を振り返り、体を労ってあげましょう。

教えてくれたのは…
久手堅 司先生
せたがや内科・神経内科クリニック院長

総合内科/神経内科/頭痛/脳卒中専門医。1996年北九州大学法学部卒業、2003年東邦大学医学部卒業。東邦大学医療センター大森病院等を経て、2013年せたがや内科・神経内科クリニック開業。「自律神経失調症外来」「気象病・天気病外来」「肩こり・首こり外来」など複数の特殊外来を立ち上げ、多くの患者のニーズに応えている。著書に『最高のパフォーマンスを引き出す自律神経の整え方』(クロスメディア・パブリッシング)、監修本に『面白いほどわかる自律神経の新常識』(宝島社)など。

CREDIT
取材・文:HELiCO編集部 イラスト:高城琢郎
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